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JCDAジャーナル

2016年大会特別版 第1号

がん等の有病者へのキャリア支援~治療と仕事の両立~

2016年08月09日 18:32 by jcda-journal

みなさん、こんにちは。N1研究会・座長の砂川未夏です。N1研究会は、「がん等の有病者へのキャリア支援~治療と仕事の両立~」をテーマに活動しています。2014年春からスタートした、まだ新しい研究会です。そのため、試行錯誤しながら、研究会の有志とともに進めています。

■研究会を立ち上げた背景と目的

現在、有病者へのキャリア支援は、これから、という状況です。そのため、CDAの皆さまとつながり、情報収集を行いながら、キャリアコンサルタントの私たちに何ができ、どのような形で支援に関わることができるか、一緒に考えていく場として立ち上げました。ただ、有病者といっても様々であることから、国の動きに合わせて「がん」に絞って進めています。

【設立背景】

近年の医療技術による進歩により、生存率は高まり、病気を治療しながら日常生活が送れる患者が増えています。とりわけ、「がん」においては、2人に1人がなる時代といわれるほど身近なものになっています。定年延長の流れで今後ますます企業の中でも増加する問題であり、また、身近な方が経験される等、多くのCDAにとって無関係ではありません。国の動きとしては、2012年にがん対策基本法に基づく第二次がん対策基本計画により、「患者の就労支援」が明示され、働いている世代への身体的、精神的なケアだけでなく、就労などの社会的な問題への取り組みが国や病院で進み始めています。しかし、医療分野においてキャリアコンサルタントという職種はまだまだ馴染みがなく、支援を必要としている有病者へ必要な支援を必要な時に提供できる環境が整っていない状況です。そこで、まずはCDAのみなさんと「つながる」「知る」そして、次なる活動へ一歩踏み出す場となるよう研究会を立ち上げました。

砂川未夏さん写真1

【設立目的】

キャリアコンサルタントが医療分野/業界において活躍できる可能性を模索し、キャリアコンサルタントによる「有病者へのキャリア支援の構築」に向けて活動する

また、N1研究会は、全国共通です。

これは既にある領域を個々に深める研究ではなく、これから育てていく新たな領域を全国の皆さんのお力を借りして段階的に確立していこうと考えているためです。通常は、活動地域ごとに付番した会をそれぞれが独自に運営しておりますが、N1研究会は、他の研究会にはないスタイルを取っています。とはいえ、発起人である私砂川と名古屋の服部文さんの二人がそれぞれのエリアで研究会を開催しています。さらに、鹿児島の中村直也さん、そして今年から京都エリアでも活動がはじまるなど、将来的には、各地での活動を何らかの形で共有して、その取り組みが相互に影響し合って支援の輪が広がることを目指しています。N1
(↑写真:左から砂川、服部さん、中村さん)

■各エリアの活動内容

CDAの皆さんが、この問題をあまりよく知らないことから、まずは、がん患者をとりまく実状について知っていただき、事例検討やロールプレイなどのワークショップを通して、がん患者への関わり方、さらには、CDAとして何ができるのか考える場を作っています。

≪東京≫
東京では、2014年度に2回、20015年度に2回、計4回開催しました。参加者の目的の多くは、「がん患者の就労における現状および事例を知り、キャリアカウンセリングについて考える機会」であり、情報収集として初めて参加される方が7~8割です。そのため、がんと就労に関する情報をできるだけわかりやすくお伝えし、がん経験者もしくはその家族であるCDA、がん患者を実際に支援しているCDAの方から生の情報提供、事例検討やロールプレイ、ワークショップで話し合うことで、CDAがいつ患者に出会っても支援ができるような内容と場を創っています。

●第1回(2014年6月7日)

初回は、座長の承認を得た上で参加者の皆さんと共に対象を議論し、対象を「がん患者」としました。また、がん患者のおかれている実状と課題について情報共有し、がん患者と主要な関係者のニーズや問題点は何か、CDAに何ができるのか、当事者、家族、病院、企業の4つに分かれてグループ討議をスタートさせました。

●第2回(2014年9月22日)

前回を踏まえて、がん患者支援の背景や患者のおかれている実状と課題について具体的に説明し、その取り組み事例として、国によるモデル事業、病院や企業における個々の事例を紹介していきました。鹿児島の病院内でキャリア支援を行っている中村直也さんに支援の実態および課題などについて講話していただきました。その後、当事者、家族、病院、企業の4つに分かれてグループ討議を行い、発表し、そこから患者への関わり方や支援の可能性、さらには医療の現場と雇用の現場との情報連携の必要性を知る機会としました。

2015年度からは、研究会を運営する有志とともに目標・目的を共有し、より身近で実践しやすい内容を目指しています。具体的には、『CDAが"知る”ことで理解を深め、患者サポートを"実行”できる状態へ』を目標に、個々のCDAの立場や状況に合わせて、患者へ何をどのようにサポートできるのか考え、実行できる場創りを目指しています。

●第3回(2015年11月8日)

「あなたの職場の方から"私、がんなんです”と言われたらどうしますか?<職場編>」をテーマに、がん患者支援の背景、治療と仕事の両立における基礎知識(病気が仕事にどのように影響するのか、職場で何ができるのか、病院や行政の取組みなど)をお伝えし、ロールプレイからがん患者への関わり方を知っていただく機会としました。

●第4回(2015年3月5日)

「もし、がんになって仕事を辞めてしまったらどうなるの?<再就職編>」をテーマに、これまでとは異なる視点から、がん患者支援の背景、治療と仕事の両立における基礎知識をお伝えし、ハローワークにおける拠点病院への出張相談の現状と課題、そして事例を紹介していきました。その後、自分がもし患者に出会ったら、どのように支援するか、についてワークショップを実施し、自分ならどうするかについて考える機会としました。

以上のように、CDAがいつどこで患者に出逢ってもキャリアカウンセラーとして真剣に関われるような内容を目指し、2015年度は「知る」に焦点を当ててきました。2016年度は、「知る」という活動から、「実行」に向けて、さらに一歩踏み込んだものへ広げていく予定です。2016年度は、2回開催予定です。第5回は9月10日(土)午後、第6回は2月下旬に開催予定です。第5回は、初めての方にも参加しやすいよう基本知識&関わり編として、治療しながら働く患者の現状や行政などの支援の実状を知っていただく予定です。第6回は、企業内で患者を支えるために何ができるか、人事関係者の皆さんの現場のリアルな話を伺う機会を作れるよう企画を練っています。

砂川未夏さん写真2

≪名古屋≫

名古屋では3回開催、今年8月に第4回を予定しています。

●第1回(2014年8月3日)

初回として「広く現状を伝えること」を目的とし、名古屋第二日赤の赤羽和久医師から「医療現場から見た就労問題」についての講演、次いで「がん就労をめぐる社会的な現状や経緯」を紹介し、全体で所感を共有しました。

●第2回(2014年9月21日)

「がん経験者の声を聴く」をテーマにがん経験者を招いてグループごとにヒアリングして理解を深めるワークを実施しました。メールで寄せていただいた経験談も含め、普段は気後れしてなかなか聴けない当事者の話を知る貴重な機会となりました。

●第3回(2015年3月1日)

「社員ががんになったその時、企業は?」多治見市のタクシー会社会長をお招きし、社員ががんになった経験を企業の視点でご講演いただきました。その後、職場の身近な人ががんになったことを想定したワークを実施しました。

この研究会活動を活かし、対外的な講演や実際の支援活動などに発展させるため、名古屋では団体を立ち上げています。昨年は患者会などの協力を得て広く離職実態のアンケートを実施、根拠をもってこの領域におけるキャリアコンサルタントの必要性を示すことができるようになりました。現在までに、医療機関内での講座やワークショップ、講演、学会発表などを着々と実施し活動の幅を拡げています。この8月からは名古屋市事業としての個人面談がスタート、久々のN1の開催も予定しています。これから個人でも企業でも大きく関わってくる問題です。ぜひ研究会に参加し、領域を知っていただくことから始めてください。また活動の活発化とともに、一緒に企画や事務作業などを担うCDAを求めています。

※名古屋・服部宛までご連絡ください。 m

砂川未夏さん写真3

≪鹿児島≫

鹿児島では、九州・沖縄地区CDAの方々と共に2014年12月に病院内で開催しました。がん患者のおかれている実状や課題ならびに行政、病院、企業における個々の具体的な取組みを学んでいきました。さらに、がん体験者及びそれを支えている看護師の方にインタビュー形式で話を伺い、患者への理解とその後のライフプランにCDAが関わるにあたって、何ができるか、何をすべきかを相互に考えられる場とし、キャリアカウンセリングの可能性、さらには医療や就労の分野を超えた専門職の連携の必要性を知る機会としました。
現在、活動の一環としてCDAの有志が、病院で入院患者への個別カウンセリングを実施したり、病気告知直後の相談を受ける活動も行っています。
鹿児島は少ない会員数の中での活動ではありますが、今後は医療機関、行政、企業、教育機関等と一緒になり、様々な場面の環境、事情から学ぶ機会を増やし、地域に貢献する活動を行っていこうと考えています。

■お知らせ(URL後ろにログインが必要と記載があるものは、JCDA会員のみ閲覧できます)

1)JCDAのHPより、JCDA東京大会のナラィブ・プレゼンテーションを閲覧できます。N1研究会を通して、私砂川が「今お伝えしたい3つのこと」について体験談を通してお話しています。また、映像の最後にN1研究会も紹介いただきました。
https://www.j-cda.jp/convention/tokyo/jcdalive.php (ログインが必要です)
2)東京でのN1研究会を9月10日(土)午後に開催します。詳細および申込については、JCDAのHPにある研究会ページをご覧ください。
https://www.j-cda.jp/branch/research_news.php (ログインが必要です)

【参考情報】がん患者の就労支援にむけた厚生労働省の動向
2007年4月 がん対策基本法 施行
2012年6月 第2次がん対策推進基本計画に「就労支援」が盛り込まれる
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_keikaku.html
2013年4月 ハローワークが拠点病院等と連携して実施する就職支援モデル事業開始
※ハローワークに専門相談員を配置し、がん診療連携拠点病院等と連携したがん患者等に対する就職支援を実施。(病院へ職員が出張相談)
2015年12月  がん対策加速化プラン策定
「がんとの共生」社会実現のための就労支援施策の提示
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107743.html
2016年2月 事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113365.html
2016年4月 がん対策加速化プランにより、各都道府県のハローワークが就労支援実施へ
https://www.j-cda.jp/

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