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JCDAジャーナル

2016年大会特別版 第1号

コールセンターはキャリア形成機会の宝庫!

2016年08月09日 18:32 by jcda-journal
奥 富美子さん(北関東支部)

コールセンターを通してキャリア形成してきた私自身の経験を語ることでコールセンターの特徴を述べ、コールセンターのイメージアップと人々のキャリア支援の活動について記します。

コールセンターなんて

「コールセンターなんて紹介しません。クレーム電話を受けるの、大変。どうせすぐに辞めるから」とハローワークに勤めるCDAの方に言われました。
CDAの人に「就職への門戸を制限されるのか」と落胆しましたが、「世間の目はこんなもの」とも思いました。「コールセンターのイメージアップ!」を決心した瞬間でした。

はじめてキャリアコンサルテインングを受けたとき

私は、再就職先が決まらず困っていました。それまで勤務していた会社で受けたリストラは、外資系企業独特のドライな経営手法と考えていたので、「1歳児のいる母親」が社会全般から歓迎されていないことに、再就職活動を半年以上していても気づきませんでした。保育園への「母親の就労証明」提出期限が迫る頃、コールセンター運営会社の社長面接を受けました。
23年前をふりかえると、このときの社長面接は、「キャリアコンサルティング」そのものでした。「人事・採用・教育の仕事が面白くてたまらない。だから、もっと続けたい/仕事は生涯続けたい/子育てしながらの職業人生も気に入っている/家族3人の協力体制も我が家らしくていい/『お子さん小さいですね』と言われ続け、再就職が決まらない」など、私の話をよく聴いてくれました。
そして、「奥さんが、『仕事をしたい』という気持ち、よく分かります。
でも、今の奥さんの状態でお願いできる仕事を用意できないのです。子どもはまだまだ熱を出します。保育園から『すぐ迎えに来て』と電話がかかって来て、お母さんは大変です。小学校に上がるくらいになると、体力もついて熱を出すこともなくなるんだけどねぇ」と言われました。そして、「○○さんは確か保育園に預けながらだったよね、ちょっと聞いてみよう」と、人事スタッフに指示して○○さんに連絡を取ろうとしました。こうした社長の言葉や行動を見聞きして、「お子さん、小さいですね」の意味が初めて分かったそのとき、社長に「私を、アルバイトで雇ってください」とお願いし、私のコールセンターでの職業人生が始まりました。

コールセンター経験×キャリア形成

私はコールセンターに育ててもらいました。電話応対の現場経験を経て人材育成業務に携わり、後年人事部門で「メンタルヘルス」を担当したことが、CDA資格取得のきっかけです。「メンタルヘルスとキャリア」は関連が深く、「生きている」からこそ、ストレスも悩みも起きる。「広い視野で物事をとらえ、自律的に自分の人生を考えることができるか否か」は、「メンタル不調となるのか、ハードなことに遭遇しても元気で居続けるのか」の差に表れるように思います。
「『自分らしく生きる』を考えよう/自分だけの魅力がある/コールセンターは、キャリア形成にもってこいの職場/実は高い能力を持っている自分に気づこう/ストレスはあって当たり前、上手な付き合い方をしよう」をコールセンターで働く人々に伝え続けることは、私のCDA活動の軸でもあります。

コールセンター経験者はなぜ合格するのか  

CDA2次試験に3回も4回も挑戦してもなお苦労している方に多く出会う一方で、コールセンター経験者は初回か2回目で合格です。「人の話を聴く体質」になっていて、知らず知らずのうちに高いコミュニケーション能力を身につけていることを確信しました。コールセンター経験者が持つ「マネジメント力や段取り力、マーケティングセンス」などの優れた能力の基礎には「聴く力」があります。「人の話を聴ける」ことは人間関係の基本であり、学習の基本能力でもあります。「学びを得て、自分を成長させる」実践者が、コールセンター経験者でした。
CDA資格取得は、コールセンター関係の友人から友人へと全国に広がっていて、このネットワークは私の財産です。コールセンター卒業後も、皆それぞれの場で活躍しています。

ダイバーシティな職場、能力開発機会の宝庫

コールセンターは20年以上も前からダイバーシティなな職場を実現しています。
年齢、性別、経験、国籍、雇用形態、障がい・健常などの属性の枠がない職場運営がなされています。女性活躍推進法が施行される何年も前から、スーパーバイザーとよばれるセンター管理者の女性は数多く存在しています。20代の若者が親のような世代の年長者を部下としてマネジメントしていることに違和感は全くありません。人生の夢実現のためにダブルワークをする若者、時間を区切って働くワーキングマザー、多言語力を生かす人、学びと仕事を両立させている人、定年退職後にチャレンジしている高齢者など多様なバックグラウンドをもつ人々と一緒に働くことが、個人のキャリア形成に役立たないはずがないのです。
「あの人、コールセンター経験者なんだって。やっぱり違うねぇ。コミュニケーション能力がものすごく高いもの。新人が場に和むのが早い!人を育てるマネジメントスタイルだね」などと、あちらこちらから聞こえてくる社会を想像しています。
そんな社会を目指して、私がしている活動を紹介しましょう。
主に①「キャリア」について考えたことがない人たちに「自律的なキャリア形成を意識する」を伝えること。②コールセンターを知らない人たちに、「コールセンターがキャリア形成に有効な職業・職場であり、身につく能力や得られるものは幅広い」を伝えること、を意識していて、次のようなことをしています。

業界イベントへの参画

コールセンター関係者に「キャリアについて」伝えるため、業界団体のイベントに参画します。下記の写真1・2は、「CCAJコンタクトセンター・セミナー2016」一般社団法人日本コールセンター協会(CCAJ)主催のイベントの様子です。

02奥富美子さん写真_1

 02奥富美子さん写真_2

「モチベーション」をとらえなおす~一過性のモチベーション施策では、人は動かない」をテーマにパネルディスカッションで、企業2社のコールセンター責任者の方と語り合いました。
「コールセンター/CRMデモ&コンファレンス」(主催:(株)リックテレコム、UBMジャパン(株))は、業界に特化した国内最大イベントです。展示会場とは別に講座も同時開催されていて、ここで講座を持ちます。下記の写真3は、「ストレスチェック義務化法に備えるメンタルヘルス・ケア実践講座」の様子です。02奥富美子さん写真_3
「コールセンターの元気は、コールセンターで働く私たちがつくる」をテーマに構成しました。受講されるセンター長やSV(スーパーバイザー:現場の管理者)に、「コールセンター経験者の能力がすばらしい」ことを直接伝えるチャンスです。

業界誌への連載

『月刊コールセンタージャパン』((株)リックテレコム発行)に、「毎日できるメンタル・ケア」を書いています。このページだけは「ほっとするページにしたい」との出版社の意向もあり、「絵本の引用」を交えて「キャリアの考え方」を伝え、「日常で簡単にできるメンタルケア」を紹介しています。また、機会あるごとに「コールセンターのキャリア」について寄稿しています。(下記写真)02奥富美子さん写真_4

つなぐ ~大学生×社会人、コールセンターを知っている人×知らない人、キャリアの考え方を知っている人×知らない人 

CDAを生かしコールセンターでキャリア形成をしてきた私は、幸いなことに大学で「キャリアデザイン」の授業を持つことへとつながりました。授業は、社会人参画の構成にしています。学生が大人・社会人と接する機会をより多く持てるよう支援することが、私の責務だと考えているからです。
毎回様々な社会人にご協力いただき、学生と一緒にグループワークをしながら受講してもらっています。「社会人と直接対話」するので「生きた学び」が得られ、学生が自分のキャリアを考えようとします。
参加した社会人の嬉しそうな様子をみると、「いつでも、どこでも、誰からでも学べる」を実感します。
コールセンター経験者にも授業に協力してもらっています。世の中にはいろいろな会社、仕事があることを学生たちは学びます。根拠のないイメージと、実際に働く人から聴く仕事内容は差異があるでしょう。自分の頭で考えるきっかけとなればいいのです。
「大変なだけだと思っていたけど、社会人がイキイキしているからびっくりした。コールセンターへのイメージが変わった」が、多くの学生が述べる感想です。企業研修においてコールセンターに従事する人たちとご一緒するとき、電話応対研修、スーパーバイザー研修、メンタルヘルス研修など、どんな研修であれ、「キャリア」の考え方を必ず含めます。「コールセンターで働く人のコミュニケーション能力は、当事者自身が感じている以上に高いレベルだ」「コールセンターで身につく能力は多様で、職場を活用しない手はない」「コールセンター経験のある起業家は多い」などを伝えます。いつか、コールセンター経験者のその後のキャリアを紹介する機会があればと願っています。

おわりに

「コールセンターとキャリアの関係」を私自身の活動から述べてきました。本稿を読んでくださったCDAの皆様が、コールセンターに明るいイメージをもってくださったら幸いです。

プロフィール
筆者:奥 富美子
活動場所:関東圏を中心に全国
活動領域:コールセンター業界支援、大学生支援、女性支援
活動歴:企業内人事を経て、上記領域に対して研修企画・講師、授業、面談を通して「キャリアデザイン、メンタルヘルス」などを伝え、キャリア支援活動をしている。

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