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JCDAジャーナル

2016年8月号 No.60

災害復興者支援コーナー ~CDAとしてできること~

2016年11月16日 11:35 by jcda-journal
2016年11月16日 11:35 by jcda-journal

VOL.1 避難者支援

2011 年3 月11 日午後2 時46 分、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が起きました。大きな地震に伴い津波が発生、福島第一原子力発電所の事故による放射能が漏洩し、あれから5 年という歳月が流れましたが、時間が経過したからといって何もかもが終わり、元に戻ったわけではありません。ホッとネットおおさか 避難者交流会
そして、今年4 月には熊本でまた大きな震災が起きました。大きな余震が長い期間にわたって起こり、東日本大震災とは違う困難が生まれました。地震は、日本という国の宿命のようなもの。この国に住む限り自然の脅威は、常に隣り合わせにあるといえます。違う言い方をすれば、災害と共に生きる必要があるとも言えます。
CDA は、そこで何ができるのでしょうか。
このコーナーは、災害復興に関わるCDA を通してCDA だからできることを考えるコーナーです。

第1 回は、2016 年5 月22 日(日)11 時から15 時の間、「I-site なんば」にて行われた「ホッとネットおおさか避難者交流会」の様子とその時に参加されたCDA の方々が感じたこと、考えたことをご紹介します。
JCDA 職員 宮村 聡子(CDA131260)

【避難者支援イベントの「キャリア相談コーナー」について】

CDA の豆野一彦さんは、東日本大震災が発生した2011 年3 月から一貫して避難者支援をしておられます。東北にも何度も行かれてボランティアを続けておられます。またご自身が在住しておられる関西でも避難者支援の団体(ホッとネットおおさか:大阪府下避難者支援団体等連絡協議会)に所属して積極的に活動を継続されています。イベントの際は避難者の多くが母子なので、母親がゆったりとした気持ちで参加できるように学生を集めてお子さんを預かる保育コーナーを担当されています。
今回、豆野さんは、これからの支援にCDA の専門性が活きるはずとの思いで「キャリア相談コーナー」の設置を所属の団体に申し出てくださいました。このような経緯でイベントへのCDA 参加が実現したのでした。 
※豆野さんは、2016 年6 月25 日(土)13時から17 時の間にTOC 有明で開催されたJCDA 東京大会の「ナラティブ・セッション」で登壇されました。JCDA 東京大会の様子は、JCDA のホームページで公開しています。

 【避難者支援イベント当日の様子】

イベントでは、参加者に女性が多いためメイクコーナー、カラーセラピーコーナーなどもあり、華やかな雰囲気もありました。カラーセラピーコーナーカラーセラピーコーナー。女性の来場者に好評でした。

CDA 担当の「キャリア支援コーナー」は、弁護士会、司法書士会、産業カウンセラーなどのコーナーの中に設置されました。
参加CDA は、全員で8 名。開始前の準備、受付も順番を決めて担当しました。「キャリア相談コーナー」では、2 つの机を使って4名で担当をしました。来談者はほとんど「キャリア相談」のイメージがつかめないのか、自発的に来られたのではなく、参加者の方をよく知っている豆野さんが誘導してくださり、「なんでも話してくださいね」という声かけから始めました。相談は、多くありませんでしたが、最初は、何を話したらいいのかなという戸惑いから次第に熱を帯びてくる方、いきなり生まれ育った土地の方言で堰を切ったように話される方など、さまざまでした。

【担当者の声】

関西地区会幹事 ピアファシリテーター豆野 一彦( CDA143037)

私は、震災後、ボランティアに直接行ったりしているうちに、それをきっかけにCDAになりました。そして、CDA の専門性が活かされることがあるはず、いつか結び付けたいと思っていました。本当に何ができるのか、ずっと考えていましたので、転機を迎えられる今、落ち着いて考える時期に来ている今だからこそできるのではないかと思い「キャリア相談」のコーナーを申し出ることにしました。
ただ、今回コーナーを設置してみて感じたのは、相談と言っても何の相談か分からない。職業相談とするのは、分かりやすいが、それだけでもない。何か分かりやすい広報が必要ではないかと強く感じました。何をするところかを分かってもらえる、キャリア相談をしたいと思っていただける、そのような広報が必要だと思います。一体何をしてくれる人かが分かればもっと利用してもらえるのではないかと思います。
実際に今回のイベントでは、数名のCDAの方に関わっていただいて、CDA ができることがたくさんあると感じました。当事者の方で組織を立ち上げ、避難者からの発信をしておられる方も、話を聞いてもらって、「こんなに話を聞いてもらえたことはない。真剣に話を聞いてもらえて勇気がでてきた」とおっしゃっていました。それができるのがCDAではないか、と大きな可能性があると感じました。
今回は、ボランティアということで自由度も多かったので、それを今後、どう展開できるか、その辺りが課題かもしれないと思いました。

関西・北陸支部 支部長 PF アドバイザー野路 衛(CDA138055)

私のブースに来られた方は、最初は、悩んで相談に来られていた感じでもなかったのですが、聴いていくうちに、また、ご本人も話すうちにご自身で整理がつかれるというような感じでした。しっかり話を聴くというのは、普段CDA としてトレーニングをしたことが活きるという実感はありました。話された内容は、大変つらい経験。途中で、うっとくるような、感情があふれだしそうな、そんな感じになりました。もっと深刻なテーマで悩んでおられる方が来られたらどうなるんだろうと思いました。はたして、CDA 側がしっかり受け止められるのかという気になりました。
また、さまざまな自然災害が起きている中で、一個人の人生としてみると、社会的に大きな出来事に巻き込まれなくても肉親との別れなど、心に大きな傷を負うこともあります。震災ということだけに限らず人生のつらい時期、乗り越えないといけない時期にお話しを聞いて自分の中で方向性を決めて、意思決定ができように、CDA が支えることができるのではないか。CDA の社会性としても大切な気がします。パネル

【今回の経験を踏まえて】

このイベントを通して強く感じたことの一つとして、自分たちが知らないことが多いということでした。一口に避難者と言っても、福島県の方だけではなく東北全域から関西へ避難して来られているのでした。ご夫婦で離れて暮らしておられる方も多く、それが何年も続くことで避難している側も東北でお仕事をされているご家族も両方がつらい思いをし、割り切れなさ、やり切れなさを感じているように思いました。しかし、そのような情報は、あまり伝わってこないのが実情です。もっと知ること、そして忘れないことが最も大切な心がけかもしれません。
これからも復興に関わっておられる方だけでなく、広く震災のことを忘れないために、またCDA としての役割を考えるために、さまざまなCDA にスポットを当ててこのコーナーでお伝えしていきたいと思います。

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