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JCDAジャーナル

2016年8月号 No.60

〜経験代謝と共に生きる〜

2016年11月16日 11:51 by jcda-journal

中村(五十嵐) 晶子さま「経験代謝」と初めて出会ったのは、ピアファシリテーターの研修でした。それ以来経験代謝について学び、自分の経験を振り返り、初めて自己概念(在りたい自分)に名前をつけたのは2 年ほど前でした。それからもいくつか変化しながら、最終的には「創造」という名前がつきました。名前がついてから、自分の経験を自己概念と結び付けて考えるようになりました。
小さい頃から、ものを作ったり、絵を描いたりするのが好きで保育園の年長の頃には、端切れ布をもらって見様見真似で人形の洋服を作っていたこと、その頃の夢はデザイナーだったことなどを思い出しました。また、私の子どもが小さい頃は、子供服や小物を作ることが楽しみで生地や材料を集め、どんなものを作ろうかと考え、型紙を作り、自分なりにひと手間加えて作っていたこと、できた時はとても嬉しく、それがストレス解消に役立っていたことを思い出します。
ところが、子どもたちが成長し、幼稚園や小学校に通うようになり、外の世界と関わりを増やすにつれ、「○○さんの奥さん」「△△ちゃんのお母さん」と言われることにだんだん物足りなさを感じるようになりました。家にこもって社会とのつながりもなく、自分だけ取り残されていくような、自分の人生を生きていないような感じがしていました。

そんな時、恩師に声をかけていただき、仕事に復帰しました。そして、契約社員を経てようやく正社員になったと安堵したのも束の間、会社都合により退職し、直後に病気が発覚したのです。乳癌でした。今から10 年余り前、下の子が中学生の時でした。治療をしながら、病気と向き合う日々の中、何もしないでいると、不安に押しつぶされそうな気がして引き受けたPTA 連合会の母親委員。当時4 つの町の小中学校15 校31 名の委員からなる母親委員会の委員長として、1 年間務めることになりました。県の母親委員や郡の役員も兼務していましたので月に2~3 回でしたが、会合にも出席し、その他にも行事の計画・打ち合わせなどの活動を通して充実感を味わうことができました。この経験は「委員のみなさんと委員会を作っている」ことにやりがいを感じ、「自分の行動を通して社会とつながっている」実感を味わうことができるということを教えてくれました。

さらに、失業と病気は、「社会とのつながり」を実感させてくれただけでなく、CDAの資格と出会うチャンスをもくれました。「自分とはどんな存在だったのだろう」「これから、何ができるのだろう」との思いから、自分の棚卸をするためにと資格取得を志しました。このCDA の資格は、さまざまなことを学ぶ意欲とこれまで自分の中で見ないようにしてきた部分にも目を向ける勇気を与えてくれました。

経験代謝について学ぶようになってから「在りたい自分」にばかり焦点を当てていた私が「自己概念の否定的表現」に関心を持つようになったのは、今年の初めに参加したプレミアムセミナーがきっかけでした。
プレミアムセミナーで自分を語り、キャリアカウンセリングを受けるうちに、これまで名前がつかなかった「自己概念の否定的表現」にぴったりな「拘束」という名前がついたのです。その時はうれしくて、思わず講師の先生方に報告をしたほどでした。否定的表現に名前がついたことで自己概念をより身近なものとして感じることができるようになりました。それからは、日常の出来事を「自己概念」と「自己概念の否定的表現」に照らし合わせて考えることができ、とても楽になったような気がしていました。

しかし、自己概念と自己概念の否定的表現の関連について考えるようになった時、両者のつながりが不明確で自分の中でつじつまが合わないように感じるようになりました。「型」や「枠」にはめられるのを嫌がっているのに、目的やビジョンをイメージしながら「形」を作ることにこだわっている自分に違和感を覚えました。「本当は、自分にとって『カタチ』はとても大切なもので、もしかしたら自己概念はもっと違う言葉なのではないか」「自分でこの言葉だと決めつけていたのではないか」と自分自身がつけた自己概念の名前に迷いが生じてきました。
そんな時に、キャリアカウンセリングで過去の受け入れたくないような経験を振り返る機会がありました。何かをしようとしているときに「持論を押し付けてきて、やろうとしていることを阻害する」ように感じる、そういう相手に対して、気持ちがモヤモヤ、ザワザワとします。そこには「押し付けられた」「拘束」と感じて相手を遠ざけようとしている自分がいるのです。
カウンセラーから「拘束というのは、相手に感じていること?それとも自分自身に感じていること?」と問いかけられました。その問いかけがずっと頭に残っており、「何を拘束と感じているのだろう」「相手が押し付けてきたことにただ、反発して他人のせいにしているだけではないか」と自分自身に問いかけていました。そして、その時の状況や何を言われ、どう感じ、相手にどんな言葉を返したかを思い出すにつれ、「言われたことに対して、それは押しつけだと感じるのはなぜか、それは自分自身にこうあるべきという枠があってそれに拘っている自分がいるからに他ならない」と気づいたのです。いつのまにか自分自身で枠を作っていたことに気づいたときに愕然としました。これまでは、「押しつけ」や「拘束」しようとする相手にモヤモヤを感じているのだと思っていたのですが、何かをするためには「こうするのが当然」「こうあるべき」と相手に押し付けたり、自分を拘束したりしている自分自身に対してモヤモヤ感やザワザワ感を持っているのではないかと思うようになりました。
何かをしようとするとき、「こうあるべき」と押し付けられると反発したくなり、「縛り付けようとしている相手」に拘束を感じている。一方で、相手とは違う枠組みを作っている自分がいて、その枠に自分自身が縛られていたのです。そんな風に感じるのも「創造」という視点で物事を見ているからなのだとあらためて思いました。

これまで、「捉われる」「拘束される」とどうなるのかというと、他人事にしようとしたり、新しいアイディアが湧かず、そこに留まっているように感じたりします。そして相手にわかってもらおうと一生懸命に説明したり、説得して相手を変えようとしようとしたりします。自分の主張が通ったとしても、「我儘を通しているのではないか」と後味の悪い思いをすることがあります。また、うまくいかない場合は諦めたり、遠慮して自分の意見を引っ込めたりして、不満が残ることもあります。そこからは何も生まれないし、徒労感を感じるだけでした。「拘束されている」「押し付けられた」と感じて他人のせいにしていた時は、とても苦しく、つらい経験として自分を縛っていました。
ところが、自分が枠を作っていることに気づいてからは、「だから、あの言葉を押しつけと感じたのだ」と振り返ることができるようになりました。そして、何かあったときに「枠」を探すようになりました。「こうあるべきという形に捉われている自分がいないかどうか」「どんな枠を作っているのか」「その枠は、本当に必要なのか」など自分に問いかけると「なぁんだ、そんなことに拘っていたのか」と自分自身を愛おしく感じることがあります。

自己概念の否定的表現が出ているときは、不安や孤独、不満を感じ、それを糧にして成長していくのだと言葉としては理解できたつもりでも、しっくりきた感じがしませんでした。自己成長とは、「いやだなぁ」と思うことがあったときに自分の行動を反省し、次の行動につなげることだと考えていました。例えば、枠を押し付けてくると感じる相手に関心を向けて、話を聞き、新しい関係を築かねばならないと思っていました。しかし、それでは、「いやだなぁ」と思う『見たくない経験』をそのまま片隅に押しやって放置し、受け入れているとは言い難く、結果として成長につながらないことに気づきました。今は、自分の中の枠に気づき、それを認めて枠組みを変えていくことでその経験を受け入れる、それが成長につながるのかなぁと思っています。

これからも、「自己概念」と「否定的表現」で日常の経験を語ることができるのか検証しつつ、環境を取り入れて新しい経験を作り、在りたい自分に向かっていくことで社会とつながりを創っていきたいと願っています。

 中村(五十嵐)晶子プロフィール
大学卒業後、建機メーカーの品質保証部門のスタッフとして勤務後、関連会社でシステムの開発に携わる。子育ての期間を経て大学での研究支援員などを経験。その後CDA 資格を取得し、女性の再チャレンジや学生から中高年まで幅広い年齢層の就職支援に携わる。一方で企業でのキャリア開発研修やキャリアカウンセリングなど、キャリア形成支援にも携わっている。

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