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JCDAジャーナル

2016年大会特別版 第6号

【 キーパーソン21】~子どもたちのわくわくエンジンを引き出す~

2016年11月10日 10:30 by jcda-journal
本田 律さん(北関東支部)
本田律さま

JCDA東京大会でもお話ししましたが、僕には野望があります。
その野望とは、「日本の社会を変えたい!」「すべての人が、自然に、自分らしく、いきいきと、人生を送ることができる社会を実現したい」というものです。
僕がそういう思いを持つに至ったきっかけは、大きく三つあります。

《活動を始めるに至った動機・きっかけ》
一つ目は、自社の採用面接で会ってきた大学生たちです。
僕は長年、企業内で採用担当をしていたため、数多くの大学生の面接をしてきました。そして、自分に自信がない、自分のことを自分の言葉で話すことができない、そんな大学生があまりに多いことに問題意識を持っていました。就職活動の間際になって慌ててキャリアを考え始めるのではなく、もっとずっと早い時期から、自分のことを理解し、適切な自己効力感を持って様々な経験を積んでいくことの大切さを感じていました。

二つ目は、当時高校1年生だった娘の存在です。
高校で文理の選択に悩んでいた娘に、将来やりたいことやなりたいものを聞いたところ、なりたいものどころか、好きなものや興味のあるものも分からないと…。これはショックでした。
娘には何か夢中になるものを見つけてもらいたいと思い、ピアノ、テニス、習字など、様々な習い事をさせてきました。しかし、本人が心から楽しいとか、やりたいと思っていたことは何一つなく、単なる親の自己満足だったのです。
面接で会ってきた大学生のことを憂いていましたが、わが娘もこのままなんとなく大学に入り、なんとなく就職活動を始めたら、きっと僕が会ってきた大学生のようになることでしょう。大学生も、わが娘も、決して特別ではない。同じような子どもたちは世の中にたくさんいる…。
若いうちから自分の好きなことを見つけ、大切にしていることに気づき、やりたいことやなりたいものを思い描くことの大切さを強く認識しました。

三つ目は自分自身の経験です。
大学生やわが娘のことを批判的に書いてきましたが、実は僕自身、自分と深く向き合ったのはCDAの勉強を始めてから後のことでした。それまでの40数年の人生で、自分は何を大切にし、何をやりたいと思っているのか、深く考えたことがありませんでした。
目の前のやるべきことをやるだけで生きてきたため、初めて自分と向き合ったとき、どうすればよいのか分からず、大いに悩み、揺らぎ、迷いました。第二の僕を作り出さないためにも、できるだけ早いうちから自分と向き合い、自分を理解することが大切だと強く感じました。

こうした様々な思いを持ちながら、自分のこれからのあり方に悩み、迷い、もがいているときに出会ったのが、小中高生のキャリア教育を行っているNPOのキーパーソン21だったのです。代表の朝山あつこさんは、講演の中でこう言いました。

一人ひとりの子どもを認め、「わくわくエンジン®」―誰もが持っているわくわくして動き出さずにいられない原動力のようなもの―を引き出してあげることが、私たち大人の役割である。「わくわくエンジン®」を見つけた子どもは自分自身を信じることができるようになる。のびのびと主体的に行動していくようになり、失敗してもくじけてもやり直せる絶対的なパワーが生まれてくる。なぜならそれは、本当の自分だから。

本田律さん2「これだ!」と体中に電流が走りました。朝山さんの言葉は、僕の問題意識にぴったりフィットしていました。その場で会員になることを決め、すぐさま活動をスタートさせました。




《キーパーソン21の事業・活動紹介》
僕が自分の思いを実現するための場として選んだキーパーソン21の事業・活動をご紹介します。
キーパーソン21では、子どもたち一人ひとりが個性や多様性を認め合い、自信を持って自分らしく生きる力を育むために、地域の大人が全力で子どもたちの成長を支える活動をしています。
(詳しくは、キーパーソン21のホームページをご覧ください。http://www.keyperson21.org/ )

■学校で行うプログラム 「夢!自分!発見プログラム」
「自分を知り、社会を知り、自立する」をテーマに、子どもたちの生きる力を育むオリジナルのキャリア教育プログラムです。先生でも保護者でもない社会人との出会いの中で、 子どもたちが将来の仕事や生き方を考え、本当に大切にしたいことに気づき、主体的に人生を選択して動き出す力を育みます。
「おもしろい仕事人がやってくる」「すきなものビンゴ&お仕事マップ」「コミュニケーションゲーム」「かっこいい大人ニュース」「個別アクションプログラム」という5つのプログラムを基本に、学校との打ち合わせにより実施内容を作り込んでいきます。そして、各コースのわくわくナビゲーター(※)養成講座を受けた会員の社会人や大学生、協賛企業の社員の方々等が、チームを組んで小中学校や高校に伺い、授業時間等を使ってプログラムを実施します。
2000年12月の団体設立から2016年8月までの15年余りで、のべ35,679名の子どもたちにプログラムを提供してきました。
※「夢!自分!発見プログラム」のファシリテーターのことを、キーパーソン21では「わくわくナビゲーター」と呼んでいます。

■個人向けプログラム 進路決定サポートプログラム「solo-solo」
子どもたちが自分自身の将来をしっかり考え、未来への一歩を踏み出す意欲を持てるよう、一人ひとりを支援する個別対応の進路決定サポートプログラムで、学校で実施しているプログラムを個人に対しても提供して欲しいという声から生まれました。高校生を主な対象として、自分の中で一番大切にしたいこと「わくわくエンジン®」に気づき、自分の将来のために具体的なアクションを起こすことをサポートしています。

■学習支援・居場所づくり
教育環境に恵まれない生活保護受給世帯の子どもたち、貧困家庭の子どもたちのあきらめ感を払拭し、自分を活かして自立したいという気持ちを育むには、自分のやりたいことを考える力、それを実現したいと思う意欲や目的意識を引き出す教育が必要です。すべての子どもたちに教育環境を提供することが貧困の連鎖を断ち切るセーフティネットだと考え、川崎市からの委託事業とキーパーソン21の自主事業という2つの形態で「学習支援・居場所づくり」を運営しています。
安心して通える家庭的な雰囲気の中で、親でも先生でもない「地域の大人」がサポーターとなり、学習面だけでなく、一人ひとりの子どもたちの未来づくりを支援しています。

《キーパーソン21での私の活動と今後の展開》
このようなキーパーソン21という活動の場を得て、実際に僕がどのように活動してきたか、そして今後どのように活動を展開しようとしているかをご紹介します。

学校で行う「夢!自分!発見プログラム」には、平日に有給休暇を取ったり、会社を早退したりして、年間10回程度、わくわくナビゲーターやサポーターとして参加しています。なかでも僕が好んで参加しているのは、定時制高校での進路選択をサポートする「個別アクションプログラム」です。子どもたちが初めて会う大人の僕に、複雑な個人の事情や家庭環境、自分の密かな思いなどを包み隠さず話してくれ、一緒に「わくわくエンジン®」や将来やりたい仕事について考えていきます。本田律さん3自分の大切にしていることをぴったりの表現で言語化できたときの子どもたちのすっきり晴れやかな表情…。これはクセになります。
 また、個人向けの進路決定サポートプログラム「solo-solo」においても、親子一緒の三者面談形式で「わくわくエンジン®」探しと将来へ向けた具体的なアクションプラン作りのサポート、及びアクション後のフォロー等を行っています。学校と違い、一人の子どもに集中して向き合えること、親子で話し合うため親子の相互理解にも関われること、親御さんの気づきにもつながることなどから、こちらもとてもやりがいのあるプログラムです。
 このようにファシリテーターやカウンセラーとしての立場で個別の活動に関わるほかにも、僕の思いを実現する場である団体の組織力を高め、世の中に対する影響力を高めるという観点から、様々な取り組みをしてきました。勤め先の制度を利用して、会社から団体への寄付金を拠出してもらいました。また、一人でも多くの方にキーパーソン21の考え方や活動に共感・賛同して、寄付をしていただいたり、会員になっていただくために、とにかくいろんな場でキーパーソン21を紹介しまくっています。JCDA東京大会でのスピーチも今回の原稿執筆も、できるだけ多くのCDAの方々にキーパーソン21のことを知っていただきたいという思いから手を挙げました。
そして、会員による組織課題解決のための自主活動も始めました。志を持って会員になったにも関わらず、思うような活躍の場が得られなかったり、団体の一員としての一体感を感じられず、残念ながら退会してしまう方々も少なからず存在します。一方、団体は、活動資金集め、新事業展開、IT化への対応など、常に多くの課題を抱えていますが、少人数の事務局職員だけではリソース不足で、これらの課題に十分に対応することができません。そこで、その二つを結びつけることにしました。会員は「学校現場に行く」とか「寄付をする」以外に、自分のスキルやネットワークを生かして団体の活動に貢献できる選択肢が増えました。団体は多彩な経験を持つ会員の力を活かして、組織課題を前進させることができるようになりました。現在では、「ファンドレイジング」「会員共感度向上」等の課題別に8つのチームが編成され、チームごとに課題解決のための活動を展開しています。

僕はこのような活動を続けていく中で、「キーパーソン21の社会的ミッションを共に実現し、日本の社会を変えたい」と本気で思うようになりました。この思いを実現したいがために、一メンバーとして活動に参加するにとどまらず、より主体的・能動的に他のメンバーや組織全体を巻き込んで活動することが増えていきました。本田律さん4これからも、自分や家族の生活のために本業の仕事をしっかりやりつつ、ダブル・ワーク、パラレル・ワークの形で、自分の持てるかぎりの力を注いで、キーパーソン21に関わっていきたいと考えています。
これまで東京や神奈川が中心だった活動エリアは、会員の広がりに伴って全国へ拡大しようとしています。子どもたちが中心だった支援対象も、親や大学生、若手社会人へと広がりを見せつつあります。考え方の近い個人や団体と協力・連携する機会もどんどん増えてきています。これからも、より多くの志を同じくする仲間とともに、より多くの人に「わくわくエンジン®」を見つけ、育んでもらう活動を継続し、「すべての人が、自然に、自分らしく、いきいきと、人生を送ることができる社会を実現する」という野望を成し遂げたいと思います。なぜならそれが、僕の「わくわくエンジン®」だから。

プロフィール
筆者 本田 律(ほんだ りつ)
活動場所 主に東京都・神奈川県等の首都圏地域
活動領域 小中高生、大学生のキャリア教育、キャリア意識の醸成
活動歴 約3年間
その他 企業に勤めながら、ダブル・ワーク、パラレル・ワークの形で行っている活動です

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