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~経験代謝で自分らしさを実感する~

2017年08月04日 18:07 by jcda-journal

★経験代謝を学ぶ意味

以前JCDAのある向上研修に参加した際、一人の参加者の方の言葉がとても心に響きました。
「これまで自分の嫌な部分に目を向ける勇気がなかった。でも、ここで覚悟を決めて自分自身と向き合うことにした。それは、自分が死ぬときによくやったねと『自分を褒めてあげたい』。そのために今、自分と向き合おうと思った」と。
私はその言葉に「死に方を考える=生き方を考えること」。つまり、自分らしく豊かな人生を送りたい、という願いが込められているように感じました。
経験代謝を学ぶうちに、クライエントに経験を語っていただくこと、そのこと自体に、相手に対して敬意と感謝の気持ち、そして愛おしい思いが溢れてくるようになりました。

「キャリアカウンセリングとは、相手の人生を慈しむこと、そして自分の人生を慈しむこと。」

共に成長するかかわりを実感できるのが、キャリアカウンセリングの魅力ではないでしょうか。

★CDAとしてありたい自分
CDAとして自分がどうありたいのかを考えていた時に出会った言葉をここで紹介したいと思います。それは米国でメジャーリーガーとして活躍しているイチロー選手の新聞のインタビュー記事の中にありました。
「『何かのために』は聞こえは良い。でも時に思い上がっているようにも思える。人間関係においても言えることだが、誰かの『ために』やろうとすると厄介な問題になることがある。しかし、誰かを『思い』何かをすることには、見返りを求めることもなく、そこに愛情が存在しているから不幸な結果になることが少ないように思う。」
プロフェッショナル意識とは「努力をすれば報われると本人が思っているとしたら残念だ。それは自分以外の第三者が思うこと。もっと言うなら本人が努力だと認識しているような努力ではなく、第三者が見ていると努力に見えるが本人にとっては全くそうではない、という状態になくてはならないのではないか。」
私がイチロー選手のこの言葉に出合ったとき、私はCDA としてクライエントに有意義な機会を提供できているだろうか。「クライエントのために」という思いは、CDA側(私)の思い上がりにつながらないか。と常々私が抱いていた思い(不安や恐れのような感情)に対する問いであり、答えのように感じました。

★私の実感した経験代謝「大切なのは、どれだけ思いを込めたか」
誰かの『ために』より誰かを『思って』という言葉が私の心に響いたのはなぜか。という問いにつながる私の経験について述べたいと思います。
随分と経験を遡ることになりますが、中学から高校生時代のことです。私は中学、高校とキリスト教系の学校で学生時代を過ごしました。学校生活において、毎日礼拝があり、折に触れて奉仕活動や寄付活動などを行う機会がありました。なかでも恩師である中学時代のE先生と高校時代のA先生との出会いは、現在の私の人やものごとに対する姿勢、関わり方、取り組み方、向き合い方に大きな影響をもたらしました。 

まず中学生時代のことです。ある団体への寄付を行う際、私はいつものように限りある小遣いの中から、無理のない範囲で寄付をしようと募金箱の前に立ったところ、E先生は私に向かって「そのお金であなたは一食食べられますか?」、私「いいえ、食べられないと思います…」、「もし一食抜いたとしたらあなたは命を落としますか?自分に痛み(苦しみ)を伴ってこそ寄付をする意味があります」とおっしゃいました。人のために何かをするということは、痛みを伴うものでなければならないのか。E先生の言葉に大きなショックを受けました。が、それと同時に無理をして人のために何かをする行為は偽善にはならないのか、またそれを続けることに意味があるのか、という思いも私の中に浮かんできました。その後、疑問を持ちながらも、寄付をするときには、最低一食分を目安に行っていました。疑問に思う気持ちはありながらも、なぜか不満や憤りという感情は生まれず、まずはE先生の言葉に倣い、実行してみることにしました。ときには一食(昼食)を抜いて寄付をして、放課後の部活動(テニス部)に行き、フラフラになって練習して、コーチにこっぴどく叱られたりすることもありました。 
「私はいったい何をしているのだろう」と半ば自分自身に呆れる私でしたが、E先生の言葉の意味を探るかのように、寄付をする際は、「最低一食分」というルール(気がつくと私の中のルールになっていました)で行い、今現在ではそれが当然(気がつくとルールから当たり前の行為)になっていました。

それから高校時代のA先生とのエピソードです。A先生の退職祝いの会をかつての同窓生数名で催した際のことです。友人の話によると、A先生が定年退職まであと5 年という時期を待たずに、自らの意志で退職を決意なさったとのこと。どうして退職なさったのだろう?私はなぜそのような決断をされたのか、問わずにはいられませんでした。A先生は微笑みながらかつ淡々と理由を語ってくださいました。「私が退職を決意した理由は2 点あります。1 つ目は、私自身の体力の限界です。義母の介護と仕事の両立が困難になってきたこと、数年前に乳がんを患い、以前のように無理がきかなくなってきたことです。そして2 つ目が、教師としての限界を感じたことです。例えばこれまで30 分あれば理解できたことが、3 倍もの時間を要するようになってきていることに愕然としました。自分の衰えを実感しながら、生徒にかかわることはできないと思ったのです。」また、これまでの教師生活の中で、新体操部の顧問を担当していた時期があったことも、私にとっては驚きでした。A先生の専門は国語で、運動部所属だった私から見ても、運動とは程遠いタイプの先生だと思っていたからです。顧問といっても別に専門の指導者がいるものだと話を聞いてみると、A先生が指導をなさっていたとのこと。A先生は顧問になることが決まってすぐに、新体操の指導員資格を取得するための学びを始め、実際に資格を取得し指導にあたっていたとのことでした。「あら、当たり前のことですよ」とA先生は淡々と語ってくださいました。私はA先生の話を聞き、私の担任だった頃のA先生とのかかわりを思い出しました。A先生の授業はもちろん、進路のことなどで相談を持ち掛けた際など、どんなに多忙なときでも一人一人親身に向き合ってくださっていたことが鮮明に思い出されました。

★私の自己概念
私がいわゆる職業人、特にCDA として「人とかかわる、伝える」機会が巡ってくるようになり、ふと気がつくとE先生、A先生のことが心に浮かび、その役割を担うことへの喜びや感謝の気持ちと同様に、不安や恐怖すら感じる自分がいたように思います。それはE先生とのやりとりから、「どれだけ思いを込めたか」を自らに問い、A先生のように「すべてを全力かつ完璧にやり通さなければならない」という思いに呆然と立ちつくす自分がいたからかもしれません。しかし私の自己概念が見出されてからは、その不安や恐怖が自分の中のどこから生じているのか、向き合えるようになっていることを感じます。「目の前の人に心を込めて」かかわることを大切にする。相手の成長を信じ、真摯に向き合った分だけ変化、成長につなげることはできる、「やればほんの一歩でも伸びる(成長する)」、ありたい自分への一歩になることを実感しているからだと思います。
私の自己概念は「共鳴:人と人とのかかわりから生まれる相互作用=相手に対する敬意と感謝と思いやりを通して、互いの成長にプラスの影響を与え合うこと」。そのために「心を込めて向き合うこと」です。

私はキャリアカウンセリング(経験代謝)を通して、自己概念を見出し、一人一人が豊かな人生を送るための気づきの場を共に作り出すことのできる存在(CDA)でありたいと同時に、その思いに共感してくださる仲間(CDA)と共に成長し続けたい、さらに多くのCDA の仲間を生み出したいと願う自分がいることを今強く実感しております。

★最後に

これまで経験代謝について学んできたこと、私自身が経験代謝を実感したことなどを振り返り、このような貴重な場でお伝えできる機会をいただきましたこと、またCDA の学びを通して出会えた大切な仲間との出会いに、心より感謝申し上げます。

 岡本 江美 プロフィール
人材ビジネス業界勤務の時代にCDA の資格を取得。その後、キャリアカウンセラーとして若年層を中心とした就職支援、キャリアカウンセリング及び、行政・学校・企業にてキャリア教育、キャリア開発支援事業の企画及びセミナー、キャリアコンサルタント(CDA)養成講座を担当。


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