バックナンバー(もっと見る)

2017年05月号 vol.63

【特別寄稿①】 いま、求められるがん患者へのキャリア支援 ~がんになっても人生…

2017年01月号 vol.62

【CDAインタビュー】 看護師、看護職員教員をへて、 看護職専門のキャリアカウ…

2016年8月号 No.60

【巻頭特集】 災害復興者支援コーナー ~CDAとしてできること~ 【経験代謝レ…

JCDAジャーナル

2016年11月号 No.61

マレーシアで…人生すごろく『金の糸』!?

2017年02月17日 14:29 by jcda-journal
2017年02月17日 14:29 by jcda-journal
小板橋 孝雄

「マレーシア、アジアで、若い人たちにキャリアプランニング、キャリア教育を実践し広めたい…。」
4 年前の5 月12 日、東京お台場のJCDA大会。私の事例発表で壇上に上がったマレーシア人ウォン (Wong Lai Yong, 黄麗容) さんが最後に発した言葉…。力強い口調で自身へのコミットメントのように私には聞こえました。
2016 年8 月16 日午前1 時半。帰国らしきアジアの観光客で混みあう羽田空港の出発ロビー。ウォンさんの言葉を思い浮かべながら、香港経由ペナン行きのキャセイパシフィック航空へ乗り込みました。早朝、香港着。出発ゲートの待合席で今日のスケジュールをFBでチェック。ペナンの学校関係者と非公式の情報交換会をウォンさんが調整してくれました。「今日はホテルでのんびり」と体は要求しますが、「どんな人とどんな話になるのか」心はワクワクしてきます。
「偶然ではなく必然ですね!!」2015 年10 月、キャリア系イベントで再会し二人が最初に発した言葉。お台場で自分の夢を宣言した年に、彼女はCDA 試験に合格。その後帰国し中学校、高校、大学など若い人を対象にキャリア支援プログラムを実践しています。私もアジアの人たちへのキャリア支援に興味があったので、一緒に何かできないかとすぐに意気投合。まずはウォンさんが生まれ育ち、現在の活動拠点ペナンへと計画を立てました。
午前11 時、飛行機は定刻にペナン到着。暑さは東京よりもましと体感しながら到着ロビーから外へ出ると、「コイタバシさんここです」と元気に手を振り、以前と変わらぬ笑顔でウォンさんが迎えてくれました。空港から宿泊先のホテル、チェックイン後、ホテルから情報交換会会場に行く車の中で会話が弾みます。留学生として来日し大学院で学び、企業で働いた日本での16 年間、ゲストとしてまた参加者でもあった私の勉強会の思い出、マレーシアで「ファーストペンギン(First Penguin)」という団体を立ち上げたこと、本当にやりたいことは若い人たちに自分を見つめ、充実した人生を歩めるような支援をしたいこと、今後の活動展開など話は尽きません。睡眠不足の疲れも忘れ、話し続けているうちに車はファーストペンギンのオフィスへ。雑居ビルの2 階ですが、30 名程度のワークショップができる部屋と事務室、応接室があります。16:00 に情報交換会開始。仕事の合間を縫って4 つの大学・専門学校のオーナー、学長、教授、マーケティングマネージャー、教務関係のディレクターやファーストペンギンの協力者など6 名の方に集まっていただきました。セミナールームで情報交換セミナールームで情報交換

内容は相互の学生の様子・学修・留学・キャリア事情。なかでもマレーシアへの日本人学生スタディツアーやインターンシップの可能性・プログラムの内容・期間・対象者など、このあたりは深く突っ込んだ意見や情報を交換しました。皆私立学校なので経営的視点から留学生の受け入れ増に熱心のようです。また私とウォンさんからJCDA、CDA の活動などを説明し、日本のキャリア支援について少し説明しました。日本の新卒一括採用、手厚い就職支援には驚いていましたが、賛同というよりは奇妙な仕組みと捉えられたようで、仕事は「自分で探す」でもなく「自ら作る」もの、学生のキャリアにおいて大学はインキュベーターであるべきとまで言われてしまいました。一方で自分が何をしたいのかわからない学生が増えていると漏らしていた准教授の言葉が印象に残りました。
大学関係者のみなさんとファーストペンギンのオフィスで(前列左下 ウォンさん 後列左 筆者)大学関係者のみなさんとファーストペンギンのオフィスで
(前列左下 ウォンさん 後列左 筆者)


翌日はウォンさんが代表を務める「トーストマスターズ(Toastmasters)クラブ」に誘われました。話し方、パブリックスピーチ、リーダーシップを相互に学ぶ世界的なネットワークを持つ非営利団体です。
当日聞かされ何も知らず、惑いもありましたが「行けば面白い出会いがある」と好奇心を優先させました。毎回テーマを決め参加者一人ひとりがスピーチをする。「Word of theday」「Thought of the day」などキーワードをもとに即興で表現する。「私は見学」と思って見ていたらいきなり指名され、スピーチをさせられました。限られた時間(2 分)で即興ということもあり日本語で話すことを許してもらいました。ポケモンGO がテーマとなっており、笑いの絶えない和やかな雰囲気で進行します。平日の夜20:00 から22:00まで若い人たちが20 名くらい集まりこんな学びを実践しているという、この熱気に圧倒されました。
「ポケモンGO」をテーマに討論

最後に参加者と名刺交換をし、数人と話し合うことができました。20 代の若いビジネスマンが私をCDA と知って、「Tell me howto know who I am」。「回りにもたくさん自分が何をやりたいのか分からない友達がいる。」と笑顔で呟きます。この問いかけと彼の苦笑がホテルに帰ってからもずっと頭にまとわりついて離れません。トーストマスターズクラブのみなさん

二つのイベントに参加し、わずか十数名の人との情報交換ですが、この体験を通して、一つの仮説を持ちたくなりました。「自分がどうありたい」「何がしたい」と、分からぬまま仕事に就いて悩んだり、また「よりよく生きる」を探す若い人がマレーシア、アジアにも増えていたりするのではないか?これを検証しながら、何かプログラムを実践できないか?
最終日の夜、ウォンさんと食事をしながら話し合いました。「ニーズはあると思っている。現在はキャリア形成の講演・コミュニケーション・プレゼンテーションプログラムなどを実践しているが、First Penguin のオフィスで若い人たちの自己発見プログラムをやりたい」。私の問いかけに対しウォンさんの熱い思いが噴出します。「マレーシアの若者により良く生きることを考え、実践してもらいたい。そのためのプログラムを検討しているが、ゲーム性のあるプログラムが受け入れられる気がする」。ブレインストーミングのようなやり取りの最中、頭に浮かんだのは「人生すごろく『金の糸』」。彼女にその概要を説明しました。英語版はまだありませんが、英語・中国語・日本語を使いこなせるCDA ならできるかもしれない。JCDA に相談しながら、まずはやってみよう。一歩踏み出そう…。マレーシアのファーストペンギンとして…。盛り上がってお酒も入り、「Make a toast!!」。
翌朝、今後の展開にワクワクしながら日本へ観光に行くマレーシア人に紛れ成田行きの飛行機に飛び乗りました。11 月にはウォンさんが来日する予定です。
私の中にある「偶然を楽しむ」という『金の糸』が自然と働き生まれた今回の体験と企画。これからどんな偶然が起こり、それをどのように自分が捉えるのか…。楽しみです。
JCDAホームページ

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2017年05月号 vol.63

【特別寄稿①】 いま、求められるがん患者へのキャリア支援 ~がんになっても人生…

2017年01月号 vol.62

【CDAインタビュー】 看護師、看護職員教員をへて、 看護職専門のキャリアカウ…

2016年8月号 No.60

【巻頭特集】 災害復興者支援コーナー ~CDAとしてできること~ 【経験代謝レ…