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〜経験代謝から湧き上がるエネルギー〜

2017年02月17日 11:19 by jcda-journal
2017年02月17日 11:19 by jcda-journal
shimoda★自分自身にとって自己概念とは

あなたにとって自己概念とは?そう聞かれたとき、自分自身にとって今一番しっくりきている表現がこれです。

 "「在りたい自分」に向かっていくために握りしめる「大切なお守り」のようなもの”

私は自分の自己概念を「(弱っちい自分を乗り越えるための)挑戦」と「責任の全う」と言語化しています。自己概念に名前をつけて言語化してみることは、自己理解、自己一致につながる大切な取り組みと思うようになり、ピアファシリテーターとしてのJCDAのピアトレーニングの場では必ず参加者に伝えるようにしています。
ある事柄に対し感情が沸き起こる時、心が騒つく時、その事柄を自己概念に照らして観ている自分がいる。自分の大切しているものに触れているような感覚。今回の経験代謝レポートのジャーナル掲載の話をいただいたときもそうでした。

まずはやりたくない自分に向き合うことからスタートする。「文章をつくるのが苦手」「自分なんかが経験代謝を語るなんて10 年早いのでは」。そんな弱っちい自分が顔を出す。ネガティブな自分。
次の瞬間、「自分でも何か伝えることができることがあるのでは」「自分に期待して指名していただいた方に応えたい」という欲求が現れる。そして「次のピアトレーニングまで、あらためて経験代謝について考えてみるチャンスを(神様から)いただけた」とポジティブな自分が意味づけをし、前に進んでいく。
これまでの過去の経験を振り返ってみてもそうでした。「できるか」と言われれば「やりましょう」と答える自分。その瞬間に事柄は決断した自分の責任となる。以降は上手くいこうがいくまいが全て自分の責任。そんなことを繰り返し、強く成長してきた自分の人生を思う。
新しい役割に向き合ったときに必ず現れるネガティブな自分。最初に頭に浮かぶことは「なんで自分なのか」「身分不相応」など弱っちい自分。
そのとき背中を押してくれるのが「在りたい自分」であり。「そんな弱っちい自分に負けたくない強い気持ち」。否定から肯定へ変化する過程。
「自分だからできることがあるのではないか」
「誰かのために自分が役に立てることがあるのでないか」
「自分に期待してくれている人たちがいるのではないか」
自分に問いかけてみる。そこに自分の自己概念を重ね、経験に意味づけを行い、前に踏み出していく。そして責任を全うすることに全力を注ぐ。
管理職になるときに上司がこんな言葉をかけてくれました。「役割が人をつくる」ということ。「その役割を少し背伸びして引き受け、その責任を全うするために努力することが人を成長させる。そしてその役割にふさわしい人間になっていく」と。

管理職を狙うにあたり、自分が一国一城の主となれる器なのかと躊躇していた自分。そんな自分に放ってくれたそんな一言でした。
その上司からの言葉は今でも自分自身の支えとなっています。これまで、その言葉に意味を見出し、成長につなげていくことができたのは、私自身の中に「在りたい自分」があったからでしょう。私はこの経験から、自分が迷ったときに自分の自己概念につなげてくれる一言は、誰かの支えにもなることができるということを学びました。キャリアカウンセラーとして、そして管理職として、自分もそんな関わりができるようになりたいと切に願います。

★「経験代謝」との出合い
「経験代謝」との出合いは、CDA の資格試験合格後に受講した初めてのピアトレーニング。上手く自分の中で取り入れられなくて、もやっとしていました。
そこで出合ったのが、JCDA の向上研修「CC-T(キャリアカウンセリングトレーニング)体得編」でした。そこに記載されていた「このプログラムでは、自分自身がクライエントとして経験代謝を体験することを中心に構成されており、 経験代謝の実感が得られる貴重な機会です」という言葉。「経験代謝の実感」という言葉がこの研修へと私を誘いました。正直、「実感させていただこう」と少し生意気な態度で臨んだ気がします。そこで想像し得なかった貴重な経験を手に入れることになりました。
自分がクライエント役で臨んだロールプレイング。参加メンバーにも恵まれ、とても暖かい雰囲気の中でロールプレイングのセッションに入ることができました。
そのセッションの間の「問いかけ」の時間で、オブザーバーとして参加されていた講師からの促しによって、大きく心が揺さぶられたのです。後半のセッションで、そこから語り始めたのですが、自分の想いが溢れ過ぎて、言葉が出なくなってしまいました。後からどんな言葉をどんなふうに投げかけられたのだろうと思い出そうとしましたが、あまりの衝撃でどうしても正確に思い出すことができませんでした。そこでその秘密をさぐるべく九州で開催される2 回目の体得編に乗り込みます。
そこで見つけたものはとてもシンプルなものでした。

「クライエントへの好意的関心」と「自己概念の影へのアプローチ」

私は現在、損保ジャパン日本興亜の営業セクションの中間管理職をしています。当時も今もですが、私の最大の悩みは「個人と組織の調和」です。中間管理職の役割と理解しながらも、自分の未熟さから悪戦苦闘の毎日です。そのとき、いただいた「問いかけ」は次のような言葉だったと思います。
「下田さんがどれたけ部下のことを大切にされているかが、下田さんの一言一言からすごく伝わってきました。なぜゆえ、その苦しい場所に立ち続けようとしているのか、そのエネルギーはどこからくるのか尋ねてみたい」
この言葉に自分の中にある自己概念は揺さぶられました。脳裏に浮かんだのは「孤独な自分」、そしてそれを打ち消すように次の瞬間「組織と闘っている自分を共に支えてくれている部下の面々」でした。だからこそ、自分はどんなに苦しくても前を向いて進んでいける。まだまだ自分は闘えるとエネルギーを貰った瞬間でした。
そのとき、言語化した自己概念は「共闘」。決して一人ではなく、仲間と共に闘うことを大切にしている自分でした。その後、闘っている相手は「組織」ではなく、「弱っちい自分自身」であると気づき、自己概念を「(弱っちい自分を乗り越えるための)挑戦」と言語化してみました。そしてそれを支えている「責任を全うしたい」という「在りたい自分」を実感しました。
余談ですが、昨年、JCDA の大原事務局長からサビカスのキャリアストーリーインタビューを受ける機会がありました。そのとき、私は好きな漫画で「ワンピース」と「機動戦士ガンダム」を挙げ、その内容について語りました。
ワンピース モンキー・D・ルフィ ⇒ 仲間を大切にし、仲間と一緒に何かを成し遂げるような生き方に「在りたい自分」を観る ⇒ 「共闘」
機動戦士ガンダム アムロ・レイ ⇒ 弱虫だった少年が戦場でたくさんの試練を乗り越えながら成長していく姿に自分自身を重ねる ⇒ 「(弱っちい自分を乗り越えるための)挑戦」
サビカスのキャリアストーリーインタビューの中にもきちんと自己概念が現れていることをあらためて認識しました。

★経験代謝から湧き上がるエネルギー
自分自身が大切にしている「自己概念」が「経験」と結びついたとき、「在りたい自分」に近づきたいというエネルギーが湧いてくる。そのエネルギーが人を一歩前に踏み出させる。そのエネルギーこそが「経験代謝」の醍醐味かと思います。
日常の経験を積み重ね、その経験に映る自分を実感し、そこから見えてきた意味を実現していくこと。それを繰り返しながら自己概念は成長を促され、人としても成長していく。私自身がこの「経験代謝」にどれだけ助けられてきたかを感じずにはいられません。ピアファシリテーターになりたいと思ったことも、この醍醐味を多くの人たちが理解し、実感してほしいという願いからです。
多くの人たちが、自分の足で自分の人生に責任を持って前向きに進んで行けるように支援していくこと。それがキャリアカウンセリングの力であり、キャリアカウンセラーの役割であると信じ、これからも学び続け、生涯をかけて自分自身を成長させていこうとあらためて今、決意を固めました。

 下田 英樹プロフィール
大学卒業後、安田火災海上保険株式会社(現 損害保険ジャパン日本興亜株式会社)へ入社。理工系卒ながら営業一筋23 年。CDA との出合いは地方の支社の管理職となり「傾聴スキル」の必要性を感じたことによる。ラインリーダーこそカウンセラーのマインドとスキルが必要であると信じ、自己研鑽に勤しみながらインプットしたものを日常現場でアウトプットすることを繰り返し、自身のレベルの向上に努力している。今年度、5 回目のチャレンジでピアファシリテーターオーディションに合格。6 月にJCDA 西関東支部長を拝命する。

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