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JCDAジャーナル

2016年大会特別版 第3号

日本を担うITエンジニアを輝かせるために

2016年08月18日 15:36 by jcda-journal
小林 薫さん(北海道支部)

hayashi0◆はじめに
ITエンジニアとかIT業界に対して皆さんはどのような印象を持っていますか?
私の周囲に人にインタビューしてみたところ、

  • 何やら難しげなことを毎日パソコン相手にやっている人
  • ものすごく残業が多くてメンタルを病んでしまう人が多い
  • 人とのコミュニケーションが苦手
  • ブラック企業

など、残念ながらネガティブな意見が多かったことに少々驚き、IT業界の特徴を知っていただくことにより、微力ですがITエンジニアをサポートする際のお役に立てればと思い今回このジャーナルに投稿させて頂く決心をしました。

◆日本におけるITの歴史について
私は1985年新卒で、電子機器メーカーから独立したばかりのソフトウエア開発会社に入社しました。
入社当時は、日本ではまだオフィスコンピュータ(オフコン)が主流で、記憶媒体はフロッピーディスク、それも8インチというLPレコードと同じくらいのビックリするような大きなものでした。(40歳以下の人は見たことないかもしれません・・・)
携帯電話もメールもなく、ワープロと表計算用の専用機が部署に1台あるかないかという環境の中で、社内の事務処理や情報伝達などにおいて、スローモーションのように時間がゆっくりと流れていた時代だったように思い返すことが出来ます。
アメリカではマイクロソフト、アップルコンピュータ、IBMなどの台頭によるパーソナルコンピューターの新しい時代が始まり、日本では理系/文系に関わらず、ソフトウエアエンジニア(SE)やプログラマ(PG)という職種の大量採用ブームが起こりました。
SE/PG=理系というイメージを持っている人も多いと思いますが、当時は文系出身者も多く採用されていました 。kobayashi01

そんな歴史に沿ってスタートを切った日本のITですが、あれからたった30年あまりのいま、オフィスではひとり1台のパソコンは常識となり、メールでの一斉送信やデータベース、SNSで情報が瞬時に世界中を駆け巡り、心臓ががキリキリとするほどの処理スピードを要求される時代になりました。
同時に、IoT(モノのインターネット化)やクラウドといった、日進月歩のごとく出現してくる新しいタイプの技術を猛追するため、IT業界に従事する技術者の専門分野や、作業工程における役割分担も多様化が見られるようになってきました。

◆業界の現状とITエンジニアの抱える問題とは
IT業界は常に人材不足に悩まされています。
また、前にも書いた通り、めまぐるしく技術のトレンドが移り変わる中で、ITエンジニアとして第一線で活躍し続けるためには、日常的に新しい技術やトレンドを追及する必要に迫られることになります。

昨日まで最先端の技術と言われていたものが、瞬く間に過去の産物となってしまう恐れがあるからです。
その結果、人材不足による絶対的な作業量の増加と、スキル不足による作業の非効率化のため、必然的に長時間労働が発生します。
IT業界における過重労働は「デス・マーチ(デスマ)」と揶揄されるほど過酷なものです。ソフトウエア開発は基本的にはチームで行うのが通常ですが、自分の能力を疑われることを恐れ、仕事の行き詰まりや苦しみをチームメンバーに共有出来ず、作業もストレスもひとりで抱え込んでしまう人がたくさんいます。
プロジェクトリーダーも一般的な管理職とは異なり、プレイングマネージャとして自分も開発業務を担当しているので、チームメンバーの状況に目が届かないケースが多くあります 。kobayashi02

また、IT業界にはヒエラルキー(階層)があり、IT業界のピラミッド構造などと呼ばれています。これはゼネコンに見られる階層構造と類似していて、トップから
① 大手IT会社
② 下請けIT会社
③ 孫請けIT会社
④ ひ孫請けIT会社


という順位で、下位に行くほど単調でやりがいのない作業、膨大な量の作業、低賃金、常識を逸脱した短納期など厳しい条件がのしかかってきます。
以上のように、慢性的な長時間労働、希薄な人間関係や属する階層ジレンマの結果、メンタルのバランスを崩し、うつ病などを発症し職を失ってしまうケースを残念ながら沢山目にしてきました。
(小池徹平主演『ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない』というワーキングエンターテインメント映画に表現されています。ブラックコメディーですが、もし興味があればご覧ください。http://eiga.com/movie/54569/

kobayashi03◆ITエンジニアの市場価値と自由競争社会
前の章で述べたように、日本のIT業界がピラミッド化している限り、そこに属するエンジニアの市場価値もトップとボトムでは相当の差が出ます。
それは賃金差だけでなく、業務の多様性や個人の裁量範囲、知的業務へ参画できるチャンスの差によるエンジニアとしての実績やスキル(=市場価値)となって顕著に表れます。
そんなことから、ITエンジニアの転職理由のほとんどが、このピラミッドの下位層から上位層へのランクアップを希望するものであることにも合点がいきます。
さらに、ITスキルは全世界共通なので、会社に縛られることなく、自分自身のスキルで自由競争社会に飛び出して行きやすいのも、ITエンジニアの特徴と言えます。
これは、職人やアーティストにも通じるところがあると考えられます。
日本式経営における三種の神器と言われた「終身雇用」「年功序列」「企業組合」が崩壊し、雇用の流動化が進むいま、グローバル競争に打ち勝っていくためにも、日本のITエンジニアが世界の市場における自由競争の中で、活き活きと活躍できる環境を作っていくことが日本の経済成長につながる大きなキーポイントの一つだと考えています。

そんな彼/彼女らを、キャリアコンサルティングを通じて苦境から救ったり、さらに活躍できるステージへ引き上げてあげることは出来ないか、常に考えています。

◆ITエンジニアへのキャリアコンサルティングについて
ここからは、あくまでも私の経験に基づく説を述べさせて頂きます。
ITエンジニアはあまり多くを語らない傾向がありますが、人間が誰しも持っている、自分の話を聴いて欲しいという強い欲求を持っていて、何かのきっかけを与えると、籍を切ったように話し始めてくれる人が多くいます。
もしかしたら、第一印象は気難しそうだったり、暗そうだったりしても相手のペースに合わせずに、ひたすら笑顔で話しかけてあげてください。
もし、なかなか視線を合わせてもらえなかったりしたら、無理に合わせようとせずに、優しく見守ってあげてください。
合理的な思考回路を持っている人が多いので、こちらから質問する時には単刀直入な表現を使ってあげたほうがラポールの形成に役立つケースが多かったと思います。
そしてもし、面談の中で、知らないIT用語が出てきたら、迷わずに質問してください。
彼/彼女らは、自分の知識を人に教えるのが大好きで、一生懸命説明してくれるはずです。
ちょっとシャイで、誤解されやすい人も多いけど、コツコツと物事に取り組む真面目ないい人たちです。
私は、面談の途中とか最後に、彼/彼女らが一瞬はにかんだような笑顔を見せてくれたときに、胸がキュンとなるような喜びを感じます。
ITエンジニアと面談する時、心の片隅に、前出のIT業界の構造を少し思い出して、その人が置かれている環境について、クライアントと同じ絵を描く助けにして頂けたら幸いです。

◆今後の展開について
私自身は、企業内でのキャリアコンサルティングを中心に活動していきたいと考えています。
もちろんITだけでなく、様々な業界での経験も積みたいと思っていますが、自分の専門分野はITとして取り組んでいきたいと思っています。
同業者へのコンサルティングは、先入観や、自分の経験値、自己概念をクライアントに投影してしまう危険も帯びていますが、相手の置かれている状況が目に浮かぶということをアドバンテージとして、ひたすらその方に寄り添い、時には背中を押してあげられるキャリアコンサルタントを目指します。
私と同じように、前職での経験や専門性を活かして、業界に特化したキャリアコンサルタントが活躍できるプロジェクトやインフラ整備について、いろいろな可能性を探っていきたいと思います。

◆最後に
パソコンもソフトウエアもアプリケーションもインターネットもウエブサイトもフェイスブックもインスタグラムも、発案して作って売って買って使って拡散しているのは「人」です。
ITってどうも苦手!とか、よくわからない!というCDAの方が、ITエンジニアと面談する際に、少しでもお役に立てればという思いと、脅威も沢山あるけど、世の中を画期的に便利にする新しいITを創造するエンジニアが疲弊せずに、堂々と世界で戦っていけるような日本にしたいという思いから筆を執らせて頂きました。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました 。kobayashi04

プロフィール
筆者 小林 薫
活動場所 札幌市/東京都
活動領域 組織マネジメント、企業内キャリアコンサルタント
活動歴 10年
コメント 第48回CDA資格試験合格
静岡県出身

東京の短大を卒業後、大手電子機器メーカから独立したソフトウエア開発会社に入社28年勤務
人材サービス業界に転職しキャリアアドバイザーとしてITエンジニアの転職支援を担当
現在は札幌市に在住、2017冬季アジア札幌大会組織委員会にて、IDカード発行システム関連の業務に携わる。


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