少子高齢化が急速に進む我が国では、一億総活躍時代を謳って政策を掲げ、女性や外国人の就労を推進しようとしている。しかし働きたくても出産育児という男性にはない制約がある、男性中心の企業文化や社会的慣習が残っているなど、女性の就職はそう簡単ではない。保育施設の増設・充実など社会的インフラ整備は必須であるが、今現在、就職したいという女性がそれぞれの立場で就職できるように専門知識を持った人が支援することが女性自身にとってはもちろん社会発展のためにも必要で、カウンセラーによる指導・支援が展開されている。
本論では筆者が首都圏のある県の”女性のためのカウンセリング”部署にキャリアカウンセラー(契約職員)として採用されたときの経験をもとに、女性の再就職について分析を試みた。
Ⅰ クライエント(女性(性同一障害者を含む))の分析クライエントの年齢層と相談理由
年代別:20歳代22%、30歳代25%、40歳代25%、50歳代23%、その他5%
背景:①労働力人口該当者:経済的必要性、実家や配偶者から独立したい
②労働力人口外:社会での経験を積みたい、家庭人だけでは満足できない、
小遣いまたは生活費を稼ぎたい、
配偶者死別・離婚を考えている、
③就業中:職場環境に不満(人間関係、パワハラなど)
仕事内容・待遇・通勤などの条件が不満
Ⅱ 女性の就職を阻む要因
①学校卒業後一度も正規の就職なしなど、本人の認識の甘さ、家族(親)の影響、家庭の事情(介護や育児など)、本人の能力不足など
②出産育児で専業主婦に専念して社会の動きから遠ざかって自分の能力維持・向上を怠った。
③資格や職歴にこだわり、社会のニーズに適合していないことに気づかない。
④職務内容や勤務先の知名度に関する拘りが大きい。
⑤自分の状況を理解してくれる家族や知人がいない。
⑥育児・子供の世話をイザというとき依頼できる人や施設がない。
Ⅲ キャリアカウンセラーとしてすべきこと
相談にくるのは自分で仕事を探せない人、あるいはどうすれば採用されるのかわからない人であるので、カウンセリングではクライエントそれぞれに自己分析をさせ、就職を阻む要因を認識させ、その解決に向けて支援することが最も有効である。カウンセラーをクライエントが信頼していること(心を開いていること)が第一歩であるので関係構築に努めてカウンセリングをする。
エントリーシートや履歴書の書き方、面接での応答の仕方など就職に関する基本的なことを確認(チェック)することが必要で、これらができていないクライエントには指導して、まず採用試験の場に臨めるようにする。
不採用になった場合も励まし寄り添ったうえで、不採用になった要因を探り、次回の採用試験に活かし、採用に近づけていく。
筆者 | 鈴木 洋子 |
活動場所 | 首都圏の県庁の出先ホテル |
活動領域 | 女性のためのキャリアカウンセリング(県の事業) |
活動歴 | 女性クライエントのカウンセリング、教育機関・会社説明会等でのカウンセリング |
その他 | カウンセラー養成講座講師助手、インターンシップ先・求人先開拓 |
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