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JCDAジャーナル

2016年大会特別版 第3号

人も支援し自分も成長できる。 それがCDAです。

2016年08月18日 15:37 by jcda-journal
2016年08月18日 15:37 by jcda-journal
石川 恵美子さん(関西・北陸支部)

ishikawa【物心ついたときから不況】
物心ついたとき、テレビでは『バブルがはじけた』と連呼していたのを覚えています。大学を卒業して就職活動するも超氷河期。今のようにネットも広まっておらず、すれば大炎上するであろう、圧迫面接も横行していた1990年台後半。その頃に私は大学を卒業し、まさしく「拾ってもらえた」と表現するにぴったりな人材広告会社の企画営業として入社。7年ほど企画営業に携わり、仕事とその対価としてもらえるお給料に喜びを感じながら、今となっては懐かしい響きすらある「寿退社」をいたしました。

その後めでたく、妊娠出産を経て子育てを経験。子育てを無我夢中、五里霧中、もう毎日が必死で数年間を過ごしました。仕事を経験し、お給料をもらったとき「世の中のお父さんってすごい」と同様に妊娠出産を経て「世の中のお母さんもマジすごい」と実感した数年でした。

ところがある日…気づけば子供は幼稚園に。気づけば自分の時間ができている。やっと手に入れた自分の時間。のんびりしたい~とは思うものの…。仕事がしたい。社会貢献がしたい。自分の経験を活かして自己表現がしたい。という気持ちでいっぱいでした。

そう思ってた矢先に一本の電話が鳴ります。


【カムバックしてほしい】
それは退社した人材広告会社から10年たった会社からの復職打診でした。プランドハプンスタンス。まさに好機が訪れました。聞けば「人材コーディネーター」としてカムバック要望でした。人材コーディネーターという求職者の支援をする。所謂「人の人生に大きくかかわる仕事」に携われる。そんな仕事ができるなんて!証拠はないけれど"今の私ならできる”という、気持ちだけはふつふつと沸いてきたのを覚えています。ただ、その"証拠はない”を"証拠はある”にしたくて、CDA資格取得の道を選びます。


【自分の自己概念を捨てる】
資格取得について一番たいへんだったこと。もう、どれも大変でした。筆記試験や論述の勉強。それも本当に大変でした。大学の試験ですらあんなに勉強した記憶はありません。ですが、一番大変だったことは二次試験でのインテーク面談対策で、自分の自己概念を捨てること。なんどもクライアントの口から出てくる「クライアントの自己概念をどれだけ拾えるか」これが一番大変だったのを覚えています。

それは今復職しカウンセリングをする中で一番気を付けていることでもあり、フリーで仕事するときでも同様に一番意識していることです。また自分の自己概念を捨てれずに、クライアントの話に集中できなかったときは
「なぜ集中できずに自分の自己概念にとらわれるのか?」とセルフカウンセリングをし、その理由を探るべく 自分の心の中を整理していくことを覚えました。


【心の中の整理整頓】
セルフカウンセリングをすることで、心の中が非常に整理整頓され、"無”になれることに気づいた私は、カウンセリングに集中できるようになりました。結果二次試験は合格者の10%ほどしか取れないと言われているB判定で合格することができました。


【人を招き入れるのであれば自分の部屋が綺麗でないと…】
キャリアカウンセリングは傾聴し、人を支援する仕事です。そのクライアントの話を傾聴するカウンセラーの心の中が無になっていないと、十分な支援はできないんだと感じました。

人を自分の部屋に招き入れる時部屋が散らかっていると、招き入れることはできませんよね?それと同じだと感じます。クライアントの話を傾聴し支援していくのであれば、まず自身の心の中を整理整頓する。それが何より重要ではないかと。このことに気づいた私は周りを見渡しました。CDA取得を目標とするクラスメイト。一次試験は受かったけれど、二次試験が残念な結果になった人びと。その人たちこそ、私が支援するべき人々でないか、と。それが私の今の「CDAを目指す人達のカウンセリング」活動につながっています。

二次試験にむけて(国家資格になってからは一次試験のみですが)インテーク面談の「スキル」を学ぶスクールはあっても「なぜ傾聴ができないのか」「なぜ自分の自己概念がすてることができないのか」といった、本人たちをカウンセリングするスクールはありません。そこで将来CDAを目指す人々のスキルだけではない、なぜできないのか?つまり、自分自身の心の整理整頓を促すカウンセリングをしていきたいと感じました。

今後CDAの試験は面接のみとなりさらにインテーク面談の重要性が問われます。スキルも大切ですが、スキルを覚えても、「できる人」と「できない人」がいるのが現実です。そこでできない人がなぜできないのか、に重点を置いてその方々の支援が今後できれば、と考え、日々多くの方々のカウンセリングを実施しています。


【失敗できない空気の中で】
同時にカムバックした会社では人材コーディネーターとして若年層(第二新卒)のカウンセリングを重ね、これからの日本を担う若い方の「就業する」意味を本人が気づきを得れるように支援をしています。

ですが人材コーディネーターとしての仕事とキャリアカウンセリングとは似ているようで全く違う仕事であり、後者が圧倒的に傾聴に集中するとしたら、人材コーディネーターの仕事とは傾聴に集中していくなかで信頼関係を今までの誰よりも構築し、本人にマッチした企業を紹介していく、ということです。ただ、傾聴するだけではなく、支援を前提に、とし、指示も出します。クライアントと対峙することは数多くあり、コーディネーターとして意見をいうシーンも多くあります。ただ、重要になってくるのはどれだけ信頼関係を築くカウンセリングができているのか、ということです。それにはやはり、CDAの資格は非常に重要となっています。

その中で日々思うのは、彼らは世の中からの「失敗はできない」というプレッシャーのなか、就職活動中は「とりあえず就職する」「就職してから考える」そして就職してから「こんなはずじゃなかった」と。

そして、「わからない」「できない」「教えてほしい」とSOSが出せないまま、上司にも同期にも家族にも誰にも相談できずに、退職してしまう若年層の方が非常に多いな、と痛感する毎日です。


【どうして聞けないのか・・・?】
なぜ聞けないのでしょうか?人員削減で、一人で今までの倍、いえ、3倍の任務を兼任することによって部下の成長がみれていない現状があるのではないでしょうか?また終身雇用制度が崩壊したため、大学を卒業し、入社した人材をずっと企業が責任をもって育てる、という概念がなくなったのもあるでしょう。

それ以上に子育てをしていて痛感しますが核家族が進み、祖父母と同居や、地域で子育てをしていた数十年前から大きく変わり、親は教えなかったことを地域の誰かから教わる、という風習も崩壊しています。

親には聞けなかったことを祖父母や地域の誰かに聞く、また聞いてもいいといった雰囲気もない、となると「聞く」ということができない現状のようです。

また昨今スマフォの普及でいつもでどこでも「ネット上の誰か」には聞ける。これも大きいと思います。
ネット上の自分を知らない誰かには聞ける。自分を知らないから恥ずかしいことも聞けるけれど、無責任な答えを鵜呑みにしてしまうかもしれない怖さ、が潜んでいるのにも彼らは気づいていません。


【そばに誰かがいれば・・・?】
もし社内、社外に自分の悩みを受容、共感、一致をもって傾聴してくれるCDAがいたら彼らの最終的な判断も変わっていたかもしれません。そう思うと今後CDAを広めるべく、社内・社外CDAの存在を広めていくのが私をはじめ、CDAの使命だとも感じます。


【最後に】
CDAを目指す方々の支援をはじめ、若年者の支援をしていますが、自分自身の経験を振り返り、女性の支援にも今後大きくかかわっていく予定です。

具体的には人材広告業界の経験を活かし、大学生を中心とした就業前の学生への支援。就活の仕方などのノウハウと同時にCDAとして「働く」という意味を理解してもらうよう、支援。また就業してからの若年層に向けては現状の人材コーディネーターのカウンセリングを活かし「退職」「転職」の支援。またそこまでに至った経緯をしっかりと傾聴し、心の整理整頓を促すカウンセリング。

そして結婚や出産などのライフイベントで一時的にご自身のキャリアが止まっているママ層にむけては、自分自身の経験を活かした支援を。入口はキャリアであっても、クライアント自身が気づいていないその背景のヒアリングができるようなカウンセリングをしていきたいです。

CDAを目指す方への支援、若年者の就職支援、女性に特化した就職支援。どれも私にとっては社会をよりよくするための支援です。

プロフィール
筆者 石川 恵美子
活動場所 人材業界、教育業界、フリー活動
活動領域 CDA資格取得目標者支援、学生・第二新卒就職支援、女性支援
活動歴 2015年秋~

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