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JCDAジャーナル

2016年大会特別版 第3号

「自分で決める」を支援する。「自分で決めた」実感は、歩みを進める原動力

2016年08月18日 15:35 by jcda-journal
2016年08月18日 15:35 by jcda-journal
高橋 隼人さん(中部支部)

takahashi2016 JCDA東京大会に、このような形で参加できることを嬉しく思います。この大会に携わっておられる皆さまに心より感謝いたします。また、一緒にCDAを目指した京都の仲間や、一緒に活動をしている名古屋の仲間の存在は私にとって大きな心の支えです。私も微力ですが、皆様のお役に立ちたいと思っております。

CDAを目指したきっかけ
ちょうど今から10年前、26歳の私は建設コンサルタントの営業職に携わっていましたが、将来の目標が描けないまま3年が経過していました。すでに転職も3回目に達しており、上昇気流に乗れない凧のように不安定な気持でいっぱいでした。そんな折、たまたまインターネットでCDAの養成講座を知り、理由もなく「これだ!」と思いました。新しい資格という新鮮さは大きく飛びついたのでしょう。

はずなのに…、でも…。
当時、CDAになったばかりの私の活動場所は、合同企業説明会のカウンセリングブースでした。20代で転職を繰り返した上に、全く支援業務の経験が無い私には貴重な機会でした。しかし、CDAを目指したときは「これだ!」と確信があったにも関わらず、今の自分に自信が持てませんでした。転職を繰り返した自分、新しい資格に飛びついた自分…。そして会社勤めをしながら、CDAの活動をする日々…。充実しているはずなのに…、でも…、…と。

他者には理解が難しい自分のこと
以前、知人に私の転職について「転職魔」とも表現されたことは、現状を維持するだけの十分な理由でした。「世間では良くないこと」と理屈では解っていても、納得感が無い…。何とも胸のあたりに詰まるような、ぶつかり合う感じは、私の身体の中で何かが喧嘩をしているようでした。

もっと早くに出逢っていたら
今、この原稿を書いている私だったら、当時の私にこう尋ねるでしょう…。
今の私:「転職をしようと思ったきっかけは?」
当時の私:「そう、私が転職を考えるときは、目の前にある課題から逃げるときです。営業で結果がでなくて叱責されたら、職場の責任にしています。でも、自分が原因とは納得がいきません。」
もし、20代のもっと早い時期に、このような自分の有り様を受け入れることができていれば、私はこうしてCDAになっていないかもしれません。

「自分以外に決めてもらう」は楽
当時、私が「決める」に重視したのは、他者や印刷物の言葉でした。例えば「営業は潰しが利くから」「CDAは、ますます必要性が高まります」などです。今、振り返れば「自分以外に決めてもらう」は楽でした。30歳に近づくまで、この「決め方」で生きてきた私にとっては、このことに「器用な生き方ができる」と自負があり、6社目の会社を辞めて人生に行き詰まっていても、現状に納得できなかったのです。しかし、時間の経過とともに、机に重ねられる不採用通知を見ながら、焦りと怒りに沈んでいきました。

再出発と決意
失業してしばらくしてから、通っていたbarのマスターの紹介で、ライブ会場設営のアルバイトをした時です。そこで同世代が「何ふり構わず全力で働く」姿は、自分に無い純粋さがあり衝撃を受けました。そして、私は「器用な生き方ができる」ではなく、「ただの怠け者だった」とやっと納得したのです。
その後、岐阜県総合人材チャレンジセンター(ジンチャレ!)の面接の時に、当時のマネージャーに伝えた言葉を覚えています。
「言い訳できない転職をしたのは事実です。だから悔いが無いようキャリアに関わる仕事をさせてださい」
その「一言」が言えたことが私にとって幸せなことでした。本当に「今」やりたいことを、自分の言葉で伝えた体験は、辛いときに「大丈夫、なんとかなるだろう」と思える自分にしたと思います。

「自分で決める」がもたらす効果
自分の転職の仕方やCDAを目指したきっかけを「今」は、受け入れることができます。受け入れるまでに長い時間が経過したことを考えると、自分の有り様を受け入れ、気づき、一歩を踏み出すのは、私にとっては難しかったです。しかし、「自分で決めた」実感は、歩みを進める力強い原動力にもなっています。

私にとってのCDAとは
私にとってCDAとは、「自分で決める」を支援する役割です。ジンチャレ!で若年者の就労支援に携わっていた頃、あるクライエントの言葉が強く記憶に残っています。
「今の自分でも勝負ができる」
クライエントと一緒に考え、共に話し合いゴールを目指すことが「自分で決める」の支援であったと、この機会に教えてもらいました。この自信に満ちた一言を言える環境を作り、自分もその一部になればCDAの活躍の場は大きく広がると思いました。

気づく環境の一部として
現在、私は名古屋工業大学でインターンシップ担当として学生の支援をしています。丁度この6月は多くのインターンシップに参加を希望する学生が窓口に来ます。参加について悩む学生の相談や応募手続き、企業との調整などが次から次へと舞い込む時期です。対応は、窓口のカウンター越しに長くても5分程度です。私は「自分で決める」支援は、この機会でもできると思います。それは、私たちの聴く姿勢で、学生にとっての「決める」環境が変わるからです。聴き方の姿勢によっては、学生の決める機会を奪いかねないのも忘れてはいけません。だからこそ、短い時間であっても相手の身になり話を聴き、一緒に考えます。まずは、人として誠実さでありたいとつくづく思います。
私:「私が、あなたと同じ状況でも難しい選択だね。でも、自分で決めないとね」
学生:「やっぱり、そうですよね」
「誰かに訊いたら決められそう」から「自分で決めた方が良い」に気づくような環境の一部に私がなっていることが大切だと考えます。

自分の「決め方」とは?
今の自分の「決め方」は過去の自分の「決めた結果」であり、今の「決め方」は未来の「決め方」に繋がります。だからこそ、「今」の「決め方」が大事だと思います。
「決める」機会は、私たちの普段生活の中にいつも存在しています。また、「決め方」は家庭、地域、学校、職場など環境に大きく左右されます。
「明日の修学旅行は、お母さんが買ってきた服を着ます」
「明日の修学旅行は、お母さんと一緒に買いに行った服を着ます」
どちらも、良い・悪いではありません。それぞれの環境や状況の中で、積み重ねられた結果が「今」目の前にいる人の人生です。
もう皆さんもお気づきでしょうが、私たちはいつも必要とされている機会にいるのです。
また、私たちの日々の生活そのものにも、「決める」はあります。改めて自分に問います。
「私の聴く姿勢は、誰の役に立ちそうかな?」

現在の取り組み
現在、私は「納得感のある自分の決め方」について実験中です。
クライエントにとって、どんなに厄介な問題を抱えていても最後に「決める」のは自分自身です。私たちCDAは、問題に対するクライエントの有り様について耳を傾け助言することがあっても、問題そのものを解決することはできません。その時に、クライエントが納得感のある「決め方」をするには「自分を知る」ことだと考えます。

「自分を知る」方法
何を手掛かりに「自分を知る」のかというと、何となく…、ぼんやり心に感じられる「実感」に触れ、そこから意味を見出すという方法です。私は、この方法のキャリアコンサルティングへの導入は大きな発展性があると確信しています。現在は、誰もが取り組み易い方法にするため、名古屋の勉強会の仲間や、全国の仲間が集う機会で、多くの方々の協力のもと実験中です。

今年で3年目になる取り組み
取り組みを始めて3年目になります。1年目は「先送りしていること」、2年目は「うまくいってないこと」についてワークショップをしました。自分にとって停滞していることに丁寧に付き合うことで、「課題に取り掛かり易くなるか?」を確かめるのが目的でした。参加者のフィードバックとして、

  • 本人が自分で納得した決め方が大事。
  • 今の自分の有り様を知った気がする。
  • 自己分析や自己PRの書き方に役に立つかもしれない。
  • 定年後の男性にも活用できる。

こうしたフィードバックから、「今」の自分を知ることが、これからの「決め方」に変化をもたらす可能性を確かめられたことは、私にとって非常に励みになります。3年目はもう少し発展させたいと思います。例えば「先送りしていること」、「うまくいってないこと」など、限定した課題から「些細な機会」と「私の決め方」についてです。今年も楽しみです。

将来の展望
就職や転職など人生の岐路にキャリアコンサルティングが役に立てることは、私たちCDAにとってやりがいを感じることです。しかし、もっと身近で気軽な存在でありたいと思います。
私は、日々の一歩に納得感のある生き方をする「決め方」のサポーターとして、CDAを地域や家庭まで広めたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

プロフィール
筆者 高橋 隼人
活動場所 愛知県名古屋市
活動領域 学生支援・若年者支援
活動歴 2007年春CDA資格認定。 2008年から学生・転職者向け合同企業説明会でCDAの活動を始める。2010年秋より岐阜県総合人材チャレンジセンターで主に若年者の就労支援に携わる。2014年より現在に至るまで、名古屋工業大学で学生のインターンシップを支援している。

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