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JCDAジャーナル

2016年大会特別版 第2号

障害者向け「思考力」「表現力」のスキル向上のためのセミナー

2016年08月09日 18:46 by jcda-journal
小竹 孝太郎さん(東関東支部)

障害者向けセミナーの活動は、障害者がもつ様々な課題を障害者支援施設の方から聞いたことから始まりました。それは、国からの補助金等に頼る人が多く、就職活動をしない人も少なくないこと、就職活動中の人でも自分で考え、その考えを相手に伝えることが苦手な人が多いこと、日々接している職員さんとの関係において、甘えが生じ緊張感が薄れ外部からの刺激が必要であることなどです。私は、これらの課題改善のお手伝いをしたいと考えるようになりました。また、障害者である父の働く姿を間近に見てきたことも、その活動の一因になっているかもしれません。

セミナーは就職を考えているが、主体的に行動できない人が「思考力」や「表現力」のスキルを磨く場とします。テキストは、新卒向けセミナーと同様に「遊びながら鍛える就活脳!」を使い、参加者がゲームを楽しみ、初対面でも話ができ、自分の考えを相手に伝えられ、リラックスできる環境の中でおこなうセミナーを目指します。思考力

セミナー開催にあたり対象者、日時、内容、スケジュール、グループ分けなど施設職員さんと念入りに打合せを重ねます。 セミナー当日は、いつもよりも早く起きて天気を確認するのが私の習慣となりました。
セミナーの自己紹介では、いつも緊張と興奮が交錯して気づくと手には汗が滲んでいることも珍しくありません。一方、参加者に目を向けると、初対面からか大半の表情は硬く真剣な眼差しで耳を傾けています。失敗談を話したときには、参加者が笑顔となり、笑い声が出て内心ほっとします。また、セミナーの目的である自分で考え、その考えを相手に伝えることの大切さを話します。それを聞いた参加者が、どう受けとめるかは定かではありません。「そんな堅いことは、いいから早くゲームをはじめてよ」と心の中で叫ぶ人もいるのではないでしょうか。

いよいよゲームのスタートです。まずは、1人でおこなう計算力を磨くゲームです。その名も「逆ピラミットだけが知る2人の相性は?」です。このゲームは自分と恋人、好きな芸能人、スポーツ選手、尊敬する人、友達などとの相性を秘密裏に占うゲームです。相性度は、1%から100%までです。「さあ、みなさん100%を目指してね。」と発破をかけると参加者の真剣度はぐーんとアップします。具体的なやり方は、自分の名前と相手の名前を1から5までの数字に変換します。「とうきょう たろう」さんと「おおさか はなこ」さんとの相性を数字に置き換えてみると、「532531535511115」となります。これで相性占いの準備が整い、次に隣り合う数字を加算していきます。「5」+「3」=「8」、「3」+「2」=「5」というように列の最後まで加算し、2列目以降も同じ要領で作業を繰り返し、最後の数字が2桁になるまでおこないます。2桁の数字が「00」になれば「100%」の相性になります。

参加者には、相手選びに迷う人もいれば、すぐに相手を決めて計算を始める人、周りにルールを確認しながら慎重に進める人など各々が真剣に取り組んでいます。計算が終わると結果発表です。「2桁の数字が00になった人はいますか?」、「・・・」、「90以上の人はいますか?」、「はい」と2名の手があがります。「いくつですか?」「97です。」、「私は93です。」、「本日の最高の相性度は97点です。」「おめでとうございます。」などのやりとりがあり、ウォーミングアップゲームは終了となります。いつも、このゲームが一番盛り上がります。
このゲームはペンと紙があれば、だれでもどこでもできます。
時間潰しになり、計算力も高められ、相手の顔を浮かべながら楽しい時間を過ごすことができます。是非、みなさんもこのゲームにトライしてください。

次は、対戦ゲームです。まずは、ペアを組んで隣合わせに座ります。縦6マス、横6マスの用紙に交互に「○」、「×」を記入していきます。YESNO

「○」、「×」が縦、横、斜めのいずれかで連続して4つ並べた人が勝ちのゲームです。相手とルールを確認しながら、いざスタートです。相手の手を読みながら自分の手を考え、勝つための作戦を立てなければなりません。「相性ゲーム」のように自分1人だけの世界とは違って、相手の考えを予測し臨機応変に対応すること、勝つための法則(コツをつかむ)を考えることが必要です。また、ゲームを通じて相手とのコミュニケーションが自然に生まれ、自分を知り、相手を知る機会にもなります。この対戦ゲームを通じて「考えること」「コミュニケーションをとること」「予測する=イメージすること」など、スキルの活用機会が次におこなうグループのシミュレーションゲームへと繋がっていきます。

最後にグループゲームの時間です。セミナーの目的が、このゲームの中に凝縮されています。つまり、参加者がゲームを通じて就職活動に必要な「思考力」「表現力」「コミュニケーション力」などを磨くことができるからです。
ゲーム前には、各人がグループメンバーに自己紹介をします。職員さんには、オブザーバー兼アドバイザー役としてグループに加わってもらいます。「さあ自己紹介をはじめてください。」の合図の下、順番をじゃんけんで決めるグループ、リーダー役が順番を決めるグループなどグループの色がでます。「いいぞ、その調子、みんな打ち解けてきたぞ。」と内心喜びをかみしめ、みんなの様子を見守る自分がそこにいます。 グループのメンバーには、初対面の人、顔を見るが話をしたことがない人、よく話をする人など様々な人間関係があります。ある男性は、大きな声で少し自信ありげに自分の名前と趣味について語り、ある女性は目線を机に向けながら恥かしいそうに、ゲームを楽しみに来たことを話しています。

自分らしさがでた自己紹介は、メンバー間の相互理解という点で有意義な時間となります。
自己紹介を終えると、グループゲームとなります。
「みなさんには、これから旅行会社の社員になってもらいます。グループで協力して魅力ある旅行の企画を考えてください。その企画を模造紙に書いて、発表してもらいます。」との説明後、共同作業がスタートします。グループ作業では、時間管理、進行役、記入者、発表者などの役割分担、企画の洗い出し、内容の整理、検証、決定のプロセスなど様々な要素が混在しています。そして、アウトプットされる成果物には大きな差がでることもありますが、今回のセミナーの目的は「成果物」をあげることではありません。グループ作業におけるプロセスの大切さを知ってもらい、そのためには、何が必要であるかに気づいてもらうことです。つまり自分で考え、その考えをメンバーに説明し、他者から意見をもらい、様々な考えを自分で消化しながら調整・協力していきます。そして、グループとしての結論を出していくプロセスの中から気づきを得ることです。また、グループ作業では「自分らしさ」「自分が大切にしているもの」「他人からの見え方」などを立ち止まって考える貴重な時間となります。
「どこのグループから発表しますか?」と促すと、背中を押されたようにあるグループが手をあげて発表となります。

健康をテーマに高齢者をターゲットにした「岩盤浴」「マッサージ」「薬膳食」「ハイキング」コースの内容が盛りだくさんのツアー企画です。
発表後には、他グループを交えた質疑応答になります。質問の答えに窮したときには、グループメンバーが助太刀として現れ、発表者に代わって回答する場面もあり、思わず「ナイスフォロー」と叫びたくなります。
グループ発表では、大抵白熱のあまり時間をオーバーすることになります。グループゲームでは、少しでも考える楽しさや人前で発表する面白さなどを実感してもらえればよいと思います。
グループワーク

これで、セミナーは終了となります。セミナーでは、新たな発見があり参加者から学ぶことも多く、私にとっても有意義な時間であり人生の財産になります。何よりも、参加者が一生懸命に、楽しそうに取り組む姿を見ると、とても嬉しくなります。

セミナーに関するアンケート調査では、考える楽しさ、意見を出し合う面白さ、自分の考えを相手に伝える大切さなどを感じる参加者が、全体の8割以上になります。また、今後どのような研修・セミナーに参加したいかの質問には、1位は「コミュニケーション」、2位は「思考力」、3位は「ビジネスマナー」、4位は「表現力」、5位は「応募書類」となります。

グループゲームでは、ハプニングもよく起きます。何か癇に障ることがあったのか突然怒り出して席を離れてしまう人、だれが問いかけても何も話さなくなる人にも遭遇します。こんなとき、私は戸惑うばかりでどう対処すればよいのかわかりません。職員さんのサポートを受け、その場が収まるのを待つばかりです。このような場面に遭遇したときには、自分の経験不足、勉強不足を痛感します。このような課題を克服するためには、学習と経験を積んでいかなければならないと思います。

今後も、障害者向けにゲームを活用し、就職活動に必要なスキルである「思考力」「表現力」を磨く場として、セミナーを続けていこうと思います。CDAで学んだ理論や経験を活かし、現場の状況に即した内容やテキストを柔軟に取り入れながら、1人でも多くの人が、就職に向けての第1歩を踏み出せるようにお手伝いができればと幸いです。

プロフィール
筆者 小竹 孝太郎
活動場所 東京都内
活動領域 「思考力」「表現力」のスキル向上のためのセミナー
活動歴 障害者向けセミナー、学生向けセミナーなど
コメント 東京都出身。大学卒業後、総合卸売会社を経て国税専門官を目指すも不合格となりアメリアに留学。帰国後、総合人材サービス会社に転職し、コンサルタント、人事業務などに携わる。25年間での面接数は、20,000名を超える。東日本大震災後に、自分の生きた証を残したいと考え転職本「因数分解思考法~自分を知るからはじめる転職~」、「遊びながら鍛える就活脳から思考力・表現力がぐんぐん伸びる~」を出筆。これらをテキストに学生や障害者向けの就職セミナーを実施中。

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